こないだ、EP『GIRL』のことを書いたので、その後のことじゃ・・・
1987年の『HEAVY METAL DAYS Vol.6 』で初めて彼らを観た後、私はシングル『GIRL』購入し、翌年1月に中野公会堂で開催されたイベント『HEAVY METAL INDIES Ⅱ』で再びライヴを観た。
この頃まで、デランジェの音楽性は初期からの流れで順当に発展していたと思う。
変化が起こったのはその後、5月に行われた目黒鹿鳴館ライヴ。
このとき既に何曲か、後のアルバム『LA VIE EN ROSE』に収録される新曲を披露していた。
それまでのライヴに比べ、オーディエンスが拳を振り上げるような曲が少なくなっている。
当時、Xと並んでメタル・インディーズ界の中でも突出した存在となりつつあったデランジェを観に来た客で鹿鳴館のフロアは超満員に膨れていたが、ライヴが始まりセットが進むにつれ、微妙な感覚の違いに戸惑う人も少なからず出ていた。
パワー・メタルとロックンロールを合わせたような従来の曲を期待する、血気盛んな男性客から「速い曲やれよー!」と野次が飛ぶ場面もあった。
機材トラブル発生といって長時間中断・・・新しい方向性の新曲・・・と、少し乗り切れない空気が会場に漂っていた。
そして、それまでメタルのりのMCで、会場を沸かせていたヴォーカルのDIZZYも、この日はどこかシリアスで口数少なだった。
ライヴ終了時、ステージ上からチラシがまかれ、DIZZYの脱退が知らされた。
(意味深に表現されたチラシを見ただけでは具体的に誰がどうなのか分からないので、正式に知らされたのはその後のこと)
DIZZYは枚方でのライヴを最後に脱退し、しばらくしてデランジェは新ヴォーカルとともに再び鹿鳴館に帰ってきた。
新しいヴォーカルのKyoは、DIZZYのそれより鮮やかな金髪逆毛で登場。全体の雰囲気はマイケル・モンローを意識したものだった。
客も新メンバーを前に戸惑いもあり、曲間で会場が静かになる場面もちらほら。
メタル度の高いナンバーはもう演奏されなかった。DIZZY在籍時に完成していた曲も多く、キーが合っていないと思える場面が多々あり、正直「ヴォーカルが弱くなったな」と感じた。
そしてこのライヴでは、今までこのことに言及したテキストを一度も目にしたことはないが・・・(もし誰かが先に書いていたらすいません)
生物の歴史で太古の魚が陸に上がった瞬間・・・後にヴィジュアル系と呼ばれるモノの誕生する瞬間を見てしまったのである。
前回の鹿鳴館ライヴで、CIPHERはレス・ポール・タイプのギターとマーシャル・アンプといった組み合わせで演奏していた。
それが、このライヴではローランドの“JC”=ジャズ・コーラス・アンプに変更されていたのだ。
それまで所謂ヘヴィ・メタルのフォーマットで演奏していたのが、布袋寅泰やBUCK-TICK等ビート系ご用達のギアに乗り換えていたのである。
BUCK-TICKが逆毛を立て、メイクをキメても、“ヴィジュアル系の元祖”には数えない。言うならば、“祖先”だ。
BOØWYやBUCK-TICKの成功に影響されてメタルからビート系に方向転換しようとしたバンドが現れたのが歴史の分岐点だと思う。
直接、ニュー・ウェイヴやゴス、ポジパンから進化したのではなく、根がメタルで・・・とゆうところが重要。
その年の夏に開催された『HEAVY METAL DAYS Vol.7 』でのデランジェは、CIPHERがBUCK-TICKそのままの“垂直髪立て”で登場した。ライヴはまだ試行錯誤の最中ということがありありと分かる内容。Kyoの歌もまだキーを捜しているようなところがあり、脱メタルはしたけれど次の方向が見えていない感じのパフォーマンスを前にして、客席は前年の熱狂が嘘のように・・・凍っていた。
実はこのライヴを観て「こりゃ、このままいくとデランジェやばいかも・・・」と思った。
メンバー・チェンジもイマイチ成功していないし、ビート系へ接近して失敗した感じだと思った。
だが・・・
しばし沈黙の後、翌年には、方向性も整理され、Kyoの歌もバンド・サウンドにマッチし、新しい音楽性をシーンに提示することとなる作品『LA VIE EN ROSE』がリスナーの手元に届けられたのだった。
・・・って、あれれ?『LA VIE EN ROSE』の事を書くつもりだったのに、DIZZY脱退前から書き始めたら長くなっちゃったよ。
『LA VIE EN ROSE』リリースまでで力尽きた・・・
どうすんの?これ。
明日に続くの?
明日は『実写版ドカベン』か”エコポイント申請”について書きたかったんだけど。
だいたいこれ、そ~ゆ~ブログじゃないんだよ!
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