…と、いうわけでシャケの2年遅れ還暦ライヴを観た！本来は2020年3月予定で、そのときは日本に新型コロナが入ってきて、「これから私たちどうなっちゃうの？」って感じだった。開催予定だったライヴが次々に中止・延期になってく最中だったんだよね。シャケの還暦ライヴはまず延期することのみ決まって、しばらくして2年っていう大スケールの延期が決まったんだ。2年あればさすがに大丈夫だろーと思ってたら、2年経ってもコロナだし、しかも直近の波が感染者数に関しては最高を記録するなんて。でも世の中のとらえ方はだいぶ変わって、エンタメに関して殺伐とした状況は去年夏の、大型野外フェスをやるのやらないのってのがピークだった気がする。
んで、2年待ったライヴを観に六本木へ…行く前にお茶の水のディスクユニオンでやってるシャケのポップアップストアを見学して、それからEXシアターに行った。
シャケのプロデビューから現在まで、すべてのバンドが出演する長丁場のライヴは17時30分に始まった。同じEXシアターのキャパでやってる原始神母はカヴァーバンドだから入ってないね。でもシャケ含めて5人がこの日出演してる。たしか向山テツさんも初期メンバーだっけ？そしたら6人。
あとDiamond Shakeは還暦ライヴ開催延期になってから始動したので出てない。
んで、時系列ではなくエンターテインメント性で決めたタイムテーブルはCASINO DRIVEがトップバッター。2014年に一夜限りの再結成で観た以来だ。日本にいないオリヴィエとダレンに代わって、再結成のときと同じジェームスと、今回初のテツさんがリズム隊。
レアなところでは、初来日で厚見さん加入前のツインギター時代、渋谷公会堂と武道館のイベントで観たよ。あとアルバムが出たときに新宿のタワーレコードでシャケとケネスでインストアライヴやったんだ。渋公のときはアメリカでシャケが結成したという以外に事前情報がなくて、金髪ワンレンのケネスが銀色のブリーフと網タイツという、つまり下半身はほぼパンツ一丁って感じで飛び出してきてびっくりしたなあ。それが今や、ビシっとスーツでキメてすげージェントルマンだからね。
Psycodeliciousはシャケと、湯川トーベン、五十嵐”Jimmy”正彦、向山テツ、三国さんてラインナップ、ソロプロジェクトという位置づけだったので、かかわったメンバーはもっとたくさんいて、最初のアルバム出したときの新宿リキッドルームはジェームスがベースで。渋谷のON AIR WESTと新宿の日清パワーステーションでも観たな。キャリアの中で一番サイケデリックの強いプロジェクトだったけど、楽曲のチョイスか、今聴くとけっこうキャッチーなところもあったな。サイケだけじゃなくて、ニール・ヤング的っていうか、なんかアーシーな部分もあるんだよね。
Mt.Delicious。2004年から2010年に活動して2015年に活動再開ツアーの代々木のZher the ZOOで観た。Mt.Deliciousはねー、元の活動期間に観てないんだよねー。アルバムは買ったんだけど。
今回は4人のメンバーに加え、当時もサポートやってる三国さんと、パーカッションで丹菊正和さんが出た。ベースのメンバーチェンジで、ドラムの柏原克己さんの息子、当時すげー若いヒカルが入ったんだよね。
シャケにとって80年代以来のサウンドキーマンって三国さんで、2000年代以降だと、ラヴリー・レイナがなんやかんやバンド、ソロ、カヴァーの原始神母含めると参加率高いので、重要な位置を占めてる気がするなあ。レッズはシャケの曲とユカイの歌で化学反応が起こったって感じで、ラヴリー・レイナ参加のバンドはシャケの声とラヴリー・レイナの歌の組み合わせて一つの世界って感じ。よくあるギタリストとヴォーカリストって関係性でもないし、メインヴォーカルと女性コーラスでもないし、他では見ない不思議な関係。
奇跡のREBECCA再現！
木暮武彦という人をRED WARRIORSのデビューで認識した身としては、 REBECCA在籍時には知らないし、レッズが好きだと大ブレイク後のREBECCAは観る機会がなかったな。
そういえば、日曜の朝にテレ東で大貫憲章が司会してた『ライヴロックショー』で、NOKKOが「アシスタントの、REBECCAのNOKKOでーす」って自己紹介してて、『ライヴロックショー』は1984年から85年の番組ってことは、そのときREBECCAにシャケはいたんだな。
REBECCAとシャケの関係を知る者としては…っていうかレッズのファンって自分が作ったバンドを追い出されたリーダーが反逆のロックンロールバンドでのし上がるっていうストーリーにも感情移入して応援してたって思いが皆あると思うので、REBECCAで弾くシャケを観る日が来るとは思わないし、還暦ライヴが決まるもっと前、シャケのブログに土橋安騎夫って名前が出たときはかなり驚いた。
今回のラインアップはシャケ、土橋安騎夫、高橋教之に加え、コンマくんに代わり克己さんと、NOKKOに代わって田村直美…っていうかSHO-TA！この企画、SHO-TAがいてよかったなあ。NOKKOが出られないで、SHO-TA以外に適任思い浮かばないな。とくにシャケがメインソングライターの時代って、後のシンセポップじゃなくてロック色が強いから、SHO-TAはハマってた。会場にいた世代にとっては「ミリオン歌手の田村直美」っといよりPEARLのSHO-TAで。
アコースティックソロ。バンドで目いっぱい詰め詰めタイムテーブルで、ソロはちょっとだけど、一人で各地細かく回ったり、キヨシともツアーしたりで、かなり比重が高いんだよね。変則チューニングを多用したり、独特の世界。
木暮”shake”武彦 with Big Mountain Blueは、長年一緒にやってる三国さんがこのバンドでやっと正式メンバーってイジられてた。ラヴリー・レイナと丹菊さんもいるので、90年代以降の試行錯誤を回収できるバンドって感じ。再結成レッズが終わってからマウデリの辺りって、シャケはポップス的なものに興味が薄れてる感じだったのが、再び「みんなで歌える」っていうものに接近してる。ヴァイオリンのARIA さんがいるので、どのバンドとも違う色で、山崎洋さんは地元の沿線が同じってことで勝手に親近感がわいて、『惑星から』のツアー、代々木で観たときに握手してもらっちゃった。
あと、BMBはコーラスワークが凄い。俺が思うレッズの魅力のひとつに、「楽器隊全員コーラスとれる」ってのがあったのね。コンマくんもドラム叩きながら歌って。それがBMBだと、さらに緻密なハーモニーなの。それが凄かった。
トリはRED WARRIORS。先月も観たぞオイ！
2か月連続かっ！先月は西川貴博さんがドラムで今回はテツさん。ドラマーが違うし、先月はなるべく初期2枚のアルバムに忠実な演奏ってコンセプトだったので、ニュアンスが違うといえば違うんだよね。短期間でテツヴァージョンにぱっと合わせられるもんなのか。シャケは自分の記念ライヴなので出ずっぱり、次に三国さん、テツさんも3バンド目に対しユカイとキヨシは出演時間が短いってことでアクションが激しかった。
アンコールは誕生ケーキを息子の青葉くん登場でお父さんに祝辞を述べた後、出演者全員で「BIG LOVE」。
まさに決別という感じで脱退したREBECCAしかりレッズだって、解散時はわりと発展的解消だったのに『7th』の後の活動休止はトラブルで、当時はもう再開はないなと思ったし、60歳過ぎてプロキャリア全バンドが集まるってのは感慨深いな。
俺は埼玉会館の『浦和ロックシティ』で、キーチと組んでたストレイトも観たから、これでコンプだ！いや、あとクリネックスもあるのか。
REBECCAやレッズの頃から、アコースティックソロで活動したりBMBまで、そのときどきで切り取るとふり幅が広くて、みんなついてくの大変かもだけど、今回全バンドを一度に観ると、シャケの音楽に何か一貫するものを感じたな。前々からシャケは創造と破壊の神と思ってて、どんどん新しいものを作り出すとともに、それまでのものはどこかへ行ってしまったかと思ってたけど、実は深層ですべて生きてたんだなあと思った。
80年代中頃にシャケの音楽に出会って、2022年にこのようなライヴを観られるなんて、昔は想像できなかったし、生きててよかったなあ！
