世代が違ったり、近くても2~3歳離れると違う景色を見てると思うんだけど、俺の周辺だと、小学校から中学校に上がってしばらくすると、皆洋楽ロック・ポップスを聴き始めたのね。雑誌だと『ミュージック・ライフ』、テレビだと『ベストヒットUSA』とかの世界ね。それらを参考に、マイケル・ジャクソンとか、マドンナとか、デュラン・デュランとか、カルチャー・クラブとかが入ってくるの。でも、そのような状況はずっと続かないで、洋楽を聴いてる男の子のほとんどが、数か月でヘヴィ・メタルにのめり込みだすの。
洋楽チャートっていう、幅広いところから、急に先鋭化するのね。ちょうどそのころ、ムーヴメントが大きくなったタイミングで、『ミュージック・ライフ』から、別冊としてメタル専門誌の『BURRN!』が誕生して。
んで、洋楽入口のチャートものにも、その後のメタルにも、どちらにも入ってたのがヴァン・ヘイレンなのね。アルバム『1984』が。
『1984』って、アメリカのハードロックとしてはもう完璧なアルバムで、かなり聴きまくって…と、思ったらヴォーカルのデイヴ・リー・ロスが脱退しちゃって。
代わってサミー・ヘイガーが加入した『5150』は、俺レコード買ったんだ。『1984』のとき、ダビングしたテープだったんだよ。
『5150』は、デイヴ時代に見られなかったメロウなポップソングが好きなんだよね。その方向転換に批判的な意見も多数だけど。このアルバムに関してはハードなのよりポップな曲の方が好き。
1990年代に入ると、俺は「メタルは、中高生時代のノスタルジーとしては超聴いちゃうけど、今のは聴かないかなー」みたいな感じでいたところ、でもヴァン・ヘイレンはアメリカンハードロックとしての、カラっとスカッとしたロックを聴きたいなーと思って、『F@U#C%K』を買ったんだ。
そして2013年の東京ドーム公演。この時すでにエディはガンを公表してたんだよね。そんで大腸憩室炎で前年延期になった分の来日だった。俺にとっては最初で最後の生ヴァン・ヘイレンになった。泣ける要素ゼロの、明るいハードロックなのに泣けるいいライヴだった。
60年代がジミヘンだったら、80年代のギターを切り開いたのはエディってくらい影響力が大きくて、自分ロック史的にもスタート地点近くにいた人だから今朝ニュース見て「うわぁ…」とショック受けたけど、急遽スマホに入れて通勤時に聴いた『1984』は、あらゆる感傷を拒絶するどこまでも抜けの良いアメリカンハードロックのアルバムだったな。