平山瑞穂 / シュガーな俺
ネットでたまたまその存在を知り、“世界初の糖尿病エンターテイメント小説”と銘打ってあったので、「BOOK OFFの105円コーナーじゃなくて、今回はフツーの価格コーナーにでも、あったら買ってみよう」と思って探したら、あったよ・・・300円で。
小説としての面白さもあるが、著者自身の糖尿病体験、実話を基にした話だけあって、病名を宣告されたときの不安、絶望感、入院中の“あるある的”なこと、食事療法との格闘など・・・リアリティとゆうか、自分の経験とダブるところが多くあって、思わずうんうんと頷きながら読んでしまった。
食事療法に関しては、外から見るほど我慢するとか、制限が大変だとは感じていない(あくまで我輩はね)。ただ、豊富な品種を使ってバランスよくを心がけなくてはいけないので、先の先までメニューを考えておいて、それに合わせて買い物をして食材を揃えるのはとてもメンドクサイ。そこを主人公が持ち前の探究心と創意工夫で効率よく済ませるように手順を編み出してゆく過程のくだりなどは参考になったりもした。
そしてその直後に来る・・・日々の血糖コントロールやら、食事の準備やら、工夫し作業を効率化して日々過ごしているつもりでも、諸々の制約や、やらなくてはいけないことが多くなってしまった生活に疲れて周り(主人公の場合は奥さんと猫)にあたってしまう場面の描写などは読んでいてもなんだか身につまされたなあ。
主人公が患ってしまったのも、すい臓の中にあって、インスリンを製造するβ細胞が破壊されてしまう“1型”であるとゆう共通点があり、入院中のエピソードに重なる部分も多かった(同じ病名なんだから当たり前か)が、我輩と決定的に違うのは・・・主人公には奥さんがいて、男女関係を抜きで飲みを共にする女友達がいて、加えて不振相手までいるとゆう・・・
えええっ?なんじゃこれ!急に絶望感!!うぁぁ!!
アホか!やってられん!!・・・そこらへんのフィクション、ノンフィクション度がどうなのかは分からないが。
・・・まあ主人公のモテ度は置いといて、我輩としてはすんなり読めるし楽しめる作品だった。
未だにはっきりとした発症の原因も分かっていないこの病気、あの入院以来、得たものといえば・・・必要に迫られて料理を作るようになって、そしたらちょっとマトモにできるようになったことかな。
常に料理本を見ながらだけどな。
シュガーな俺 (新潮文庫)
(2009/09/29) 平山 瑞穂 |