ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

スピーク・イングリッシュ・オア・ダイ

あれから一年だ。

そう、一年前の今夜、私は点滴の針がが腕に刺さったまま、病院のベッド上にいたのである。

1型糖尿病を発症し、意識障害を起こした状態で入院したのであった。

当時の詳しい状況は以前書いたので今回は省く。

それについてはここら辺を参照してね。

その後一年間過ごしてみて、今現在何がどうなっているのか。

とりあえず日々、諸々のこと(ずいぶんアバウトだな!)、とくに食事とそれに伴う血糖値の上昇下降に気を付けて生活、月に一度病院に行き、採血検査と診察。毎回毎回、主治医に「良好良好、この数値なら問題なし」と言われ、通院する間に起こった問題点、疑問を投げかけアドバイスを乞う。そして次の来院までに必要な諸々の機器、インスリン注射の処方箋をもらうことを繰り返している。数値が良好のため、ここへきて、通院の間隔は広がりつつある。

世間一般で所謂“糖尿病”としてイメージされる2型糖尿病と違い、1型糖尿病は我がすい臓のインスリン分泌機能を完全に殺してしまった。したがって病気自体はもう良くも悪くもなることはない。画期的、革命的な治療法が出てこない限りは一生このままである。あとは、日々のケアを怠らず、血糖値はじめ諸々を上手くコントロールし長生きするのか、コントロールできない状態が長く続いて何らかの合併症を患ってしまい、最悪は早死にするのかといった塩梅。一生インスリン注射は手放せないが、今のところ、このままの調子で日々の管理を続ければ、今後も(ある意味)健康に生きられるというコースを進んでいるらしい。

医療技術の進歩、特にハード面は、手軽に血糖測定ができる測定器、チクリとも痛くないインスリン注射の針、食事直前に打てばすぐに効きはじめるインスリンなど、目を見張るものがある。反面、食事療法の指導法など、どうもソフト面では遅れを感じることもある。

それを書き出すと長くなるので止めておくが、今の私に足りない知識を補完してくれるのがインターネット。それも医療従事者ではなく患者自身が発信している情報だったりする。もちろんいろんな質の情報が存在するので、そこで取捨選択を間違えてはいけないが、病院に通ったり関連書籍を読んだりするだけでは見えてこなかったことも見えてくるのだ。

これには結構助けられている。

昔はインターネットもなく、おそらくインスリン注射も痛いし打ってもすぐには効かなかったり、血糖測定も手間がかかったりで大変だったのだと思う。

飲み食いや運動不足が原因で陥った病気ではないので、今のところ食欲との鬩ぎあいのようなものはそんなに感じない。必要に迫られ、やむにやまれず始めた男の料理も、なんとなく楽しくなってきた気もする。諸々すべて計算して食べなければならない煩わしさ、計算がどおりの結果が出なかったときの落胆は相変わらずだが、そんな中で少しでも豊かな食生活を営めるよう、日々のトライ・アンド・エラーは続く。

現在のところ、有効な治療法がないので、今の生活で行っているのは治療ではない。

血糖値をはじめ身体を上手くコントロールすることを覚えていくのは、あの日以来、狭く、生き難くなってしまった世界を再び広げるための作業といったところか。

そんな感じでこの生活も2年目へと突入していくのであった。

スピーク・イングリッシュ・オア・ダイ!!スピーク・イングリッシュ・オア・ダイ!!

(1998/07/18)

S.O.D.

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