ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ベスティアル・ディヴァステイション

杉山清貴&オメガトライブ / Another Summer (1984)

中学生の頃、『ザ・ベストテン』などのチャート番組で観ていたぐらいの関わり方だったので、杉山清貴オメガトライブのイメージといえば、『ふたりの夏物語』であり、カラっと乾いて、太陽の光が眩しくてたまらないようなイメージで捉えていた。

大人になってから、その最大のヒット曲『ふたりの夏物語』が収録されているこちらの『Another Summer』を聴いてみると、意外な事実にぶつかった。前半に関しては『ふたりの夏物語』を軸に、自分が抱いていたイメージどおりの爽やかなで爽快な印象だが、それ以降はけっこうウェットな曲が入ってくる。もちろんアルバムの構成として偏らないように振り幅があるのだろうが、とことん(というか、陽射しが強い系?)のイメージがあったので、当時は少し誤解していたようだ。

それとこれとを比べてもしょうがないが、例えば大滝詠一の『A LONG VACATION』は、最後に『さらばシベリア鉄道』とゆうオチがありつつも、他はどれもメジャー・キーで低湿度の曲ばかりだ。

彼らのベスト盤『Single's History』も聴いてみたが、シングル集なので明るくノリの良い曲が多いと思いきや、実はそちらの方がマイナー・キーの楽曲が多く収録されていたりする。

ずっと追ってきたファンにとっては、『ふたりの夏物語』の方がバンドの中では異色作とゆう位置付けらしい(彼らは自給自足型のバンドではなく、自作を交えつつも康珍化林哲司を中心とした作家陣が主に詩、曲を提供している。『ふたりの夏物語』はJALのCMタイアップ曲) 。

・ ・・と、いろいろ言いつつも、まさに“夏が求める声”といった感じで清涼感のある杉山清貴のヴォーカルを中心に配したサウンドは、がメイン・イメージということで揺るぎないだろう。

国道134号線を走って葉山から茅ヶ崎へと向かう様子を描くオープニング曲『Route134』は最高の夏ソングだ。だが、その導入部から導かれる世界全体を見渡すと、現れてくるのは“能天気なリゾート・ソング”ではなく、“憂いの分かるワビ、サビのシティ・ポップス”といったところだろうか。

ANOTHER SUMMERANOTHER SUMMER

(1994/06/01)

杉山清貴&オメガトライブ杉山清貴

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