『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。
入稿 2012/2/20
Huey Lewis & The News / FORE! (1986)
1. Jacob's Ladder
2. Stuck With You
3. Whole Lotta Lovin'
4. Doing It All For My Baby
5. Hip To Be Square
6. I Know What I Like
7. I Never Walk Alone
8. Forest For The Trees
9. Naturally
10. Simple As That
アメリカン・ロックの何たるかを体現しているバンド、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。ヒューイ・ルイスのハスキーな声が乾いたサウンドを牽引してその世界観を作り出している。
本作『FORE!』を聴いていると曲中、サックス、ギターやキーボードのソロ・パート、そしてビーチ・ボーイズばりのコーラス・ワークが差し込まれる場面などでは、まるで西海岸の風がさっと吹き込んでくるようで気持ちがよいのだ(そういえば、彼らのセカンド・アルバム、『Picture This』の邦題は『ベイエリアの風』だった)。アップ・テンポな曲は小気味良く、ミディアムなテンポでスウィングする曲はスケール感を伴った大きなウネりがある。ヒットを飛ばし、バンドのポテンシャルに世間の評価が追いついた余裕が成せる業か。
前作『Spots』がバンド初の大ヒット、そして映画『Back to the Future』の主題歌に『The Power Of Love』が使われたこともあり、セールス的には絶好調の時期の作品である。さらに時代はMTV全盛の煌びやかな頃。そんな中、好調ぶりはうかがえても浮ついた感じがしないのは、下積みからの叩き上げ精神と、ルーツ音楽との距離がしっかりと音に表れているからだろう。(Jeff Goldsmith)