ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

お前のハンドは精神病院の中に

AKB48 / ここにいたこと (2011)

このアルバムの発売日は6月8日である。今日は6月25日である。何故、そのタイミングでこの記事を書いているかというと、そりゃレンタルの開始が今日だったからだよ!

知ってる人は知ってるけど知らない人は知らない。ワシがそれを知ったのは、“ファンに比べると遅く、まったく興味のない人と比べると早い”ぐらいの時期であった、“このアルバムはAKB48にとって初のオリジナル・アルバム”だという事実。では以前書いた『神曲たち』は、何なのかと問われれば、ベスト・アルバムだったということで、「じゃあ、最初からアルバム用として書き下ろされた曲が多く収録されているブツは、どんな感じなのだろう?」と、聴いてみましたよ。

まず最初に確認したいことがあったんだけど、『神曲たち』のときにも書いたように、やはり一人称が“僕”となっているような、男目線で作られた歌詞の曲が多い。というか、ほとんどそれ。作詞はもちろん全曲、秋元康である。男目線で応援ソング、もっと言うとズバリAKB48に対する応援ソングもあったりする。これは男性ファンが秋元康の設定した目線と同化して、応援することがもっと盛り上がっちゃうという寸法だろうか。総選挙しかり、専用劇場しかり、AKB48のコンセプトで“応援”というのは重要なキーワードであるし。

あとは…秋元康がAKB48の作詞に関して男目線で書くのは、戦略、マーケティングとか以上に、自分で本当に言いたいことを書いて、それを歌わせているんじゃないか。と、一瞬思ったんだけど、それは深読みしすぎか。

オリジナル・アルバムとしての構成だけあって、最初の2曲はグループとしての成り立ちというか存在意義を「バンっ!」と全面に打ち出した応援ソング。中盤はバラエティ的に詰め込んだ感じ。キョンキョンの『なんてったってアイドル』とかおニャン子クラブの『会員番号の歌』(どちらも秋元作品)のような、自身をパロディ化したというかアイドルのタネ明かし的な歌もある。

シングル曲でアッパーな『ヘビーローテーション』から次のラスト曲『ここにいたこと』へ突入する際の温度差は、オアシス『モーニング・グローリー(What's the Story) Morning Glory?』のエンディング、『モーニング・グローリー(Morning Glory)』から『シャンペン・スーパーノヴァ(Champagne Supernova)』への流れみたいに、感動的だったな。

惜しむらくは、ワシが一度聴いてぶちのめされた『RIVER』のような、重心をぐっと落とした、メッセージ性の強いヘヴィ・ロック・チューンがないということかな。『RIVER』と同じ作曲者、井上ヨシマサの『Beginner』が同路線ではあるんだけど、『RIVER』を超えてはいないんだよなあ。

…つうか、お前それじゃアイドル・グループに求めてるものが違ってるだろ!つうことで、おしまい。

【特典生写真付き】ここにいたこと(初回限定盤)【特典生写真付き】ここにいたこと(初回限定盤)

(2011/06/08)

AKB48

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