PRINCESS PRINCESS / LOVERS (1989)
プリプリの人気が最高潮に達した1989年にリリースされた本作は、全曲をラヴ・ソングで固めるという明確なコンセプトを掲げて作られた。メンバー5人が描く、それぞれの恋愛模様が綴られている。(彼女らの楽曲製作体制は、ヴォーカルの奥居が多くの曲を作曲、作詞は各メンバーが行い、奥居の作詞曲というのは少ない)
テーマ的にはラヴ・ソングに統一されているが、曲調はクリスマス・ソングからハード・ロックまで幅広く、それらが違和感なく並んでいる。バンドの好調をそのまま反映した楽曲のクオリティはどれも高く、作詞陣の言葉、メイン・ソング・ライター奥居のメロディとも見事な充実ぶり。
そして何より、ミリオン・セラーを達成したこのアルバムには、同年リリースでプリプリ最大のヒット・シングルとなった『Diamonds (ダイアモンド)』が収録されていないのである。それどころか、シングル曲自体、ひとつも入っていない。マーケティング的なことを考えれば、ヒット・シングルを収録し、さらなるメガ・ヒットを狙えたかもしれない。しかしそれをせず、見事なアルバムを作った。
ある意味、マーケットに対し攻撃的に打って出た、そしてしっかりと結果を出した作品である。
LOVERS
(1996/06/21)
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