小川清史 / 今。
レッド・ウォーリアーズ時代は、ステージ上で常にサングラスを着用し、逆毛を立てて大きさが2倍に膨れ上がった頭で、一見すると一番ワルそうなルックスだったキヨシ。解散後、唯一発表されたソロ・アルバムはレッズ時代のルックスからは想像もつかないアコースティック作品となった。・・・のだが、レッズのヒストリー本などでは、少年時代にはカメラを持ってSLの写真を撮りに北海道を一人旅をしたり、バイクで旅をしたり、コンサート・スタッフを務めた尾崎豊への共感などといったエピソードが語られていたりするので、そのへんのことを把握していれば、まったくの突然変異という感じではない。
シャケが1曲を提供。多くの曲で、PASSENGERSの森永淳哉がアレンジをしている。キヨシはベースでなくアコースティック・ギターを弾いて歌を歌っている。レッズのロックンロールからはだいぶ遠い、のんびりとした、内省的な作風。
シャケが富士山の麓に住み、Mtデリシャスでの活動に至るまでには、アメリカでの生活からスタートした、様々な新たなる自己の発見を経たようだが、キヨシが現在、釧路湿原でペンションを営み、カヌーに乗って写真を撮ったりしているのは、少年時代の夢とちゃんとリンクしているという・・・この着地点、ブレなさは凄いね。途中にいろいろな紆余曲折はあったのだろうが、なんか凄い。感慨深いものがある。
今。
(1992/11/28) 小川清史 |