ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

War Machine

自治会長日記、今回は秋の話である。

秋には、市の大運動会があった。自治会から2名運営委員を出さないといけない。俺と会計の人でやることにした。運動会の前に、運営委員の説明会がある。俺は仕事で行けなかった。行かないと電気椅子にかけられるというなら行けないこともなくないこともないが、夕方からの説明会なので定時であがったって半分にも間に合わない。運動会本番ならともかくさらに説明会まで公休希望なんか出したくない。出さないと島流しっていうなら出すけどそこまでではないので休みなんかとらなかった。もっと言うと運動会当日が雨だと翌日に順延ということで、そうすると連休をとらないといけない。運営委員の人事報告の際、自治体職員に「予備日まで休みとれませんわ」と言ったら、「代理を用意してなんとかしてください」と返されたが、まあ他の役員も行きたがらないので、もう当日晴れるのを願うしかなかった。

そして、晴れた。運動会当日は晴れてくれた。俺は運動公園に向かった。ラッキーなことに、俺の役は運動会会場内の仕事ではなく、駐車場係なのだ!さらに、事前打ち合わせに行かなかった俺は、運動公園についてさらに喜んだ。俺の担当は、駐車場ではなく路上駐車の防止要員だったのだ。運動公園の裏手を通る細い道に車を停めないように突っ立ってるだけ。ほとんど何もすることがない。運動会が始まってしまうと来場する車もなくなり、ホントにすることがなくなってしまった。iPhoneでネット閲覧でもして暇をつぶしていたが、もっと絶え間なく仕事があると思って予備バッテリーを持参しなかった。なのでバッテリー残量が少なくなるとiPhoneなしの丸腰で過ごすしかなく、とにかく暇だった。

しばらくすると、近くにいる駐車場係の人、つまりどこかの自治会役員が、パイプ椅子を貸してくれた。他の自治会については何も知らないが、自治会から椅子を持参ということは、任期が長くて何度も来ている人なのか、俺は椅子持参なんてこれぽっちも頭になかった。

大会役員が軽トラで会場周辺を回って届けに来た弁当を食らった後、退屈な午後のひととき、俺は植え込みの木に張ってある、蜘蛛の巣に、小枝を投げ引っかけて遊んでいた。男何十歳、自治会の長が小枝を投げて遊んだ。

あまりに退屈な午後だったがまったく何もなかったというとそうでもなくて、農家の私有駐車場に来場者が駐車してしまうという事態が何件か起こった。とりあえず、地主は怒ってはおらず、これ以上入らないように見ておいてということで済んだ。しばらくしてそこから出ていく車を見たら、搭乗者は野球のユニフォームを着ている。運動会の来場者ではなく併設された球場の利用者だった。だから俺本来の職務と関係ないやつらんだけど、出ていくときに外した出入り口のロープを戻さないで走り去るし、なんだよ野球ってのは野蛮だな…

そんな、ちょっとした嫌な感じはあったが、またラッキーなことに、俺は運動会の閉会を待たずして役から解放されたのである。椅子を貸してくれたどこかの自治会の人が、「もうここからは自分らだけ残りますから、帰ってもいいですよと」と言ってくれた。運動会も終盤近くなると、当然来場の車なんかなくて、去っていく一方。そうすると駐禁係のやることなんてない。帰宅を促してくれたどこかの自治会役員は、慣れた感じで言ってきたので、何年も連続してやっている人なのだろうか。会場の後かたずけも免除されてしまった。こりゃラッキー!生まれてここまでで一番うれしい!!

仕事中は運動会の様子は見えないので、帰りがけに横目で覗いてみた。すると、運動公園にはけっこうな人数が集まっていた。うちの自治会からは参加者などいない。参加の申し込み用紙は郵送されていたが、いつも誰も出ないので申し込まなかった。にもかかわらず会場には相当数の人間がいた。自治体主催の運動会に出場する層ってどんな人たちなんだろう…

予想より早く仕事を終えた俺。晩飯の支度までは時間があるので、少し自転車で走ることにした。俺もスポーツの秋を走るのである。