ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ブラック・メタル

渡辺美里 / Sweet 15th Diamond (2000)

 

高校生のバンドシーンが最近どうなってるのかはよく知らないが、俺が学生の頃は、バンドなどの表現活動をするにあたって、ライヴハウスに出演するとか、コンテストに出場するという方法の他に、市民会館などのホールで、オムニバス・コンサートを開催するというのがあった。いくつかのバンドが集まって、ホールを借り、楽器屋からPAをレンタルしたりオペレーターを呼んだりしてライヴの環境を整え、かかる経費やら諸々の状況によって、お金はバンド同士で折半し、入場無料でやったり。ときにはチケットを作って、売ったこともあったな。

そーいえば、2回ほど、俺も仕切りをやったことがある。会場を押さえたりチラシを作って配ったり。地元ヤンキーのみんなは、ロックに興味はないけど祭りごとが好きだから、会場に来て(実際に来た)、タバコとか吸いだして見つかったらまずいなーとか(とりあえずタバコについては何事も起こらなかった)。 コンサートを主催するのは大変だったけど、まー裏の文化祭みたいな感じで楽しかったね。ウチの学校には軽音楽部とかなかったし。多くのバンドにとってはライヴハウスよりはそっちのコンサート主戦場だったりもしたな。

で、俺があるオムニバス・コンサートに出演したときのこと。俺とは別の高校に通うヤツが主催するコンサートだった。そういったコンサートって、たいがいひとつだけの学校でなく、いくつかの高校からバンドが集まって開催されることが多かった。同じ中学校から、別の高校へそれぞれ進んだバンド仲間の同級生の繋がりによって、話が回ってきたりするのだ。俺自身が高校のときに仕切ったのは2回だけなだが、そのコンサートはそういったものを何度も仕切っているヤツが中心となって開催されたものだった。

そいつ、主催者であるヤツと俺は、“知り合いの知り合い”程度で、直接の面識はまったくない関係だった。友人が出演するコンサートを観に行ったら、ヤツが尾崎豊のコピーバンドで歌っているのを観たとか、それぐらい。そして、コンサート参加にあたって、出演者と主催者という関係が発生したので、何かの連絡で一度家に電話をかけなければいけないことがあり(当時は携帯電話がない)、かけたときのこと。ヤツから発せられる波動から、俺は起こりうることを警戒し、あまり遅くに電話をかけると怒られそうなので、夜8時きっかりに電話をかけると、教師をやっているというヤツの親父が電話に出た。重ねて言うが、俺は警戒していたので、まだ夜8時にもかかわらず「夜分に大変申し訳ありませんが」とサツアイをかましたのだが、電話に出た教師をやっている親父は、「君ねえ、こんな夜に人の家に電話をかけるなんてねえ…チクチクチクチク」などと言ってきた。俺は、「あんたの息子が8時ごろ電話しろって言ったんだよ!」という言葉を飲み込んで、「す、スイマセン」と謝罪した。

そんな微笑ましいプチエピソードを挟みつつ、コンサート当日。その日、俺はZIGGYとかレッド・ウォーリアーズのコピーバンドで出演し、自分の出番後、たしか、スポットライトなどを操作する照明室だったかな?そこからステージを見下ろしていた。

そのときステージでは、主催者である尾崎コピーのヤツこと彼が、歌っている最中だった。俺が、ステージ用にダイエースプレーで逆立てた頭髪もそのまま、なんとなしにステージを観ているときに事件は起こった。ヤツが率いる尾崎コピーバンドのギタリストが、見せ場とばかりにギター・ソロでステージ前方にググっと出てきた瞬間、ステージ下に居たパンクス数名に、ステージから引きずり下ろされ、殴られてしまったのだ。しかもけっこうボコボコに。殴ったのは同じコンサートに出演しているバンドのメンバーと、その客たちだった。ステージ上から何か挑発したとか、元々個人的な遺恨があったとかそんな事情ではなく、パンクスたちは、ただ単にそうしたかっただけという…

で、この衝撃のエピソードについてはこれで終わりで(終わりかよ!ヤツと俺がその後仲良くなったとか、まったくそんな話ではない。それきり)、後日、友人と話していたときのこと。「そーいえば、あの尾崎コピーのヤツって、仕切り屋よろしくコンサートを沢山仕切るし、夜8時に電話したら親が出て俺のことを怒るし、すげーアレって感じで、しかもそのアレな感じが見事にアレで一環してるなー」と俺が言うと、ヤツと同じ高校に通う友人は言った。「アイツにはこんな逸話があってね、ライヴ中、Gジャンを着て尾崎コピーを熱唱しているアイツが、エキサイトして着ているGジャンを脱ぎ捨てたら、その中には渡辺美里のTシャツを着てたんだよ」

「!!!!!!!!!!!!!!」

これで今日の話はすべて終わりです。

渡辺美里のCDについて書かないうちに終わってしまいました。しかも、話の本筋は尾崎豊のコピーバンドについてだから、もう何がなんだか…

Sweet 15th DiamondSweet 15th Diamond

(2000/07/19)

渡辺美里

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