ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

希望的リフレイン

2014/10/23 原始神母 PINK FLOYD TRIPS 2014@東京キネマ倶楽部

 

と、いうわけで、PINK FLOYD TRIPS行ってきた!

 

鶯谷にある、東京キネマ倶楽部には初めて入った。元はグランドキャバレーだったとかなんとかで、他のライヴハウスにはない雰囲気。

 

 

 

フロアの前方が椅子席、俺は後ろのスタンディング・ゾーンでライヴを観た。スタンディングの方がチケット代安かったから…というよりは、ライヴって座って観ると眠くなるかオシッコしたくなるから。座ってライヴを観て(俺は立ちたいんだけど)、眠くなっちゃったのはニール・ヤング、オシッコ我慢できなくなってトイレに行ったのはストリート・スライダーズだ。

 

開演前に場内を見渡すと、客の年齢層がムチャクチャ高い。このトリビュート・バンドの中心人物、シャケのレッド・ウォーリアーズを知らないであろう若者…じゃなくて、その逆の意味でで知らないっぽい中高年だらけだ。出演者のファンじゃなくて本家ピンク・フロイドのファンが多数を占める感じ。レッズどころか、なんかお台場で観たボブ・ディランより客の年齢層が高いのはどういうこっちゃ?と思ったら、今回は椅子席メインなんだよ!ディランはスタンディングだから、足腰に自身のある人間しか来ないのだ!

 

とかなんとか言ってるうちに、メンバーのひとり、ベースの扇田さんがアコギの弾き語りでセルフ前座として出てきた。挨拶がわりに『もしも』を歌う。続いてキーボードの厚見さんとクリス・ペプラー(!!)のフロイド・トーク。よくわなんないけど、こんなところでクリス・ペプラーを拝見できるとは思わなかったぜ。ペプラーがフロイド・フリークだったとは。しかも、トークだけでなくベースを弾いて(!!!)扇田さんと『サン・トロペ』をやったんだ。

 

ペプラーの呼び込みMCから、本編は『吹けよ風、呼べよ嵐』で始まった。『神秘』は、アルバムのじゃなくて、『ウマグマ』とか『ライヴ・アット・ポンペイ』の演奏に近かったな。扇田さんはロジャー・ウォーターズだから、ドラを鳴らすんだよ。乱打するの。『ライヴ・アット・ポンペイ』の、あのシーンを再現。

 

『原子心母』と『エコーズ』をやったのね。この2曲って、本家のフロイドは同じステージでやったことあるんだろうか?今回はLP片面全部を使う曲をどっちもやったんだよ。長さもエディットじゃなく、フルでやったと思う。『クレイジー・ダイヤモンド』も、B面パートはやらないしにても、イントロがオリジナルの長さだったし。本家のライヴ盤、『P.U.L.S.E』とかだと少し短いじゃない。そういった感じで長尺のをよくいくつも入れたなー。

 

このバンドは、三国さんはレッズ(のサポート)で、ヴォーカルのケネスとキーボードの厚見さんはカジノ・ドライヴでしょ?、コーラスのラヴリー・レイナとドラムの克己さんはMt.デリシャスで、だからシャケがやって来たバンドのメンバーがいろいろ集まって、演奏するのはフロイドの曲っていう、面白い状況なんだなあ。コーラスでレイナと組むミオリさんは、『虚空のスキャット』が凄くて喝采を浴びていた。

 

スタンディングのゾーンから前方を眺めていると、中高年の人たちがフロイドのテンポでユラユラを首を振ってて、しかも立ちじゃなくて座ったままでだから、なんか凄い光景なんだよ。後ろからその模様を見ることの方がトリップみたいで素晴らしかったぜ。

 

 

当然全曲フロイドなんだけど、本家フロイドが絶対やらないような組みあわせのセット・リストで、みんな座って盛り上がってた。

 

最後の『マネー』と『ナイルの歌』(!!)では椅子席客もみんな立ち上がって、会場全体がはじけた!

 

俺はシャケがフロイドのトリビュートをやってるのは知ってたし、ピンク・フロイドは俺にとっても重要バンドなんだけど、チケット買ってコピーバンドを観に行くのもどうかと思って、今まではスルーしてたんだよね。でもまあ、実際に観たら大満足のライヴだった。舞台製作費は本家の何百分の一かってところを、そこは創意工夫でフロイドのファンでも喜ぶようなところまでに完成させていた。照明なんか、普段のクラブ規模公演じゃ考えられないほど豪華だった。演奏の再現度も高かったし、本家でなくてそこにいるメンツが弾いてることの説得力もあった。そう、フロイドの音楽って、再現性が高ければ本人不在でも、それはそれで楽しめる次元にあるのかな。マドンナとかU2とか、まあシャケのレッド・ウォーリアーズでも、しっかり金をとるトリビュートのステージって成り立たなそうだもんな。それはつまり肉体性、本人がやってこそで、フロイドの音楽はそれを超越してるのかも。ロジャー・ウォーターズと3人が作った音楽があれば、一方で批判されつつもギルモア主導フロイドのライヴは成り立ったしね。しかも、大大量の照明とスモークで、メンバーはいるのかいないのかって状態になっても客は大喜びっていう。ある意味フロイドはクラッシック音楽に近いのかも。楽典的にじゃなくて存在として。ベートーヴェンとかバッハとか、音楽はあっても当然今は本人いないしね。それでコンサートは成立してるし。今はシド・バレットとリック・ライトがあの世に行って、何十年後には必ずメンバー全員がいなくなるわけだけど、残した音源が聴き続けられるのはもちろんのこと、世界中でトリビュート・バンドが演奏をして、ライヴ体験を継承していくのかもしれん。

 

今まで、ちょっと二の足踏んでたけど行ってよかったわ。

 

 

 

Endless River Endless River

(2014/11/10)

Pink Floyd

 

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