冷蔵庫の中には、そう、最後のひとつ。残りひとつの卵があった。最後のひとつだが焦ってはいけない。明日は10個パックが98円のタイムセールだ。だから…大丈夫だ。金輪際卵とお別れではないのだ。パックが98円といっても、もちろんヤッコさんも商売である。卵以外の買い物合計金額が500円に達さないとダメだ。そして、もちろん“お一人様1パック限定”なのである。そして、その企画にボクも乗っかるのだ。
さて今回で御役御免となる、前回の98円セールで購入した卵パック。さあ、どうする？最後のひとつをどうするか。どう向き合うのか。
悩み、つまづき、泣いたりもしたけれど、『オムライス』にすることにしたんだ。
キッチンに立つ。手を洗い、その流れで、先ほどコーヒーを飲んだカップを洗う。ボールに水を汲む。ボールに乾燥ワカメを入れ、もどす。
冷蔵庫のドアを開け、モズクと鶏のササミ、朝に食べたトマトの残り3/4個、玉ねぎ3/4個を取り出す。そして最下部の野菜庫から、ネギ、レタス、ニンジン、ニンニク、ショウガ、キャベツ、ピーマン、椎茸と、使う野菜類を一気豪快に取り出す。
まずは副菜の『とまとのゴマ酢』から作ろう。私は冷蔵庫から取り出したトマトを切り、お酢のビンを…とり…出し…キャップを…
と、全て描写しようと思ったが、長くてバカバカしくなってきたので中略。
～中略～
キッチンには、トマトに3滴ほど垂らしたごま油の香りが漂い…
～中略～
さて、いよいよ最終コーナーにさしかかる。洗い物を簡略化するために、ケチャップライスと玉子焼きを同じフライパンで順に焼く。ここまで滞りなく済んだ。そして最後の一品、『鶏ササミのソース野菜炒め』にとりかかるのだ。
鶏ササミは酒と塩で下味済み、野菜類は火を使う料理にかかる前に全てカット済みだ。それでは使ったフライパンで三つめの料理を…
いや待て、落ち着け。落ち着くんだ。今日はまだ時間に余裕がある。予定より早く調理が進んでいる。こんなときは落ち着いて、後で楽するためにもう洗えるものは洗ってしまおう。オール・フィニッシュの前に洗っておこう。ボールも包丁も、空いたタッパーも洗ってしまおう。そうだ、今日のボクは冴えている。手際よくできている。
いよいよ最後の料理を作るため、フライパンにサラダ油をぽとりと一滴落とす。
そして…
～中略～
できた！できたぞ！やった！やったんだ！
オムライスを片方半分に盛った皿の上に野菜炒めを乗せ、テーブルに運ぶ。そこには先行した副菜たちが待っている。
かくして、今日の夕食たちが目の前に揃ったのであった。
「文章は要点をまとめて簡潔に」の逆で、全体を無駄な部分のみで構成してしまいました。
おしまい。
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