ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

Bad Grown Ups

村上龍 / 69 sixty nine

最近でこそ、あまり読み返さなくなったが、この小説はかなりのお気に入りで、どのくらい気に入っていたかとゆうと、友人に勧められ借りて読み、その後自分でも購入し、ことあるごとに何十回も読み返すぐらい入れ込んだ。

高校生のときに読んでいたら少しだけでも景色が違って見えたかもしれないが、たしか初めて読んだのは19歳~20歳ぐらいのとき。

村上龍作品の中にあって、SMもドラッグもグロ表現も登場せず、かなりストレートに“楽しい小説”として書かれていて、1969年とゆう時代に宿っていたパワーと、その時代に高校生だった主人公ケン=村上龍のエネルギーが融合してこの物語をとても魅力的なモノとしている。

自分の中で“三大自伝的青春小説”は大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン』みうらじゅん色即ぜねれいしょん』、そして村上龍69 sixty nine』。

オーケンの『グミ・チョコレート・パイン』は作者本人が“自伝的”と言われることに対して否定していて、あらすじ自体は完全なフィクションだが、時代設定や登場するアイテムが1980年代初頭に実在したモノやそれを少しもじったモノが登場するのでとりあえずここに入れとくよ。

それぞれ『グミ・チョコレート・パイン』は1980年代、『色即ぜねれいしょん』は1970年代、『69 sixty nine』は1960年代の終わりが舞台となっている。

三作とも、後に映画化されているとゆう共通点もあって、映画の方もみな良い作品だった。

この『69 sixty nine』は宮藤官九郎が脚本、主演は妻夫木聡で映画されており、原作との相違点も含め、楽しめる作品だったと思う。

原作中、主人公ケンが在籍するロック・バンド“シーラカンス”はレッド・ツェッペリンの『胸いっぱいの愛を』などを演奏しているが、映画では権利関係、楽曲使用料の問題なのか、はたまた演奏や歌の再現性の関係か、クリームのナンバーに変更されている。

クリームについては、バンドの演奏シーン以外にも、オープニングのタイトル・バックで『ホワイト・ルーム』が流れる。

この曲は、ロックの中であまりにも定番過ぎて、その気恥ずかしさとゆうかなんとゆうか、エリック・クラプトン関係の楽曲中、聴く頻度がかなり落ちていたが、スクリーンに映る切り抜き影風の画とともに流れるのを聴いていたらあらためて曲のカッコよさを認識した。とゆうか、見落としていた曲の魅力を新たに発見したような感じだった。

文章で表そうとすると難しいが、これにはスクリーンを見つめながら軽いショックを覚えたのだ。

原作との相違点の中で、オープニング・シーンにてケンたち数人の仲間が佐世保の米軍基地で金網越しにイタズラをしかける描写があるが、これについて村上龍は「当時の佐世保で高校生は米軍に対して絶対そうゆうことはしない」とゆう趣旨のことを映画化についてのインタビューか関連書籍の中で語っていた。

結局そのシーンはそのまま使われたが、李相日監督に差し替えも申し入れたんだっけかな?間違っていたらスイマセン。たしかそのようなことも読んだ記憶がある。

バンド・ブーム世代(正確には“イカ天”がスタートしたのが高校卒業間際の2月なので、自分の中では“バンド・ブーム前夜”の世代だと思っている)の私は、ケンたちの時代と違いヒッピー・ムーヴメントなどを海の向うにリアル・タイムで感じていないので、高校生のときに彼らのように音楽に加えて演劇、映画などもいっしょにした“フェスティバエル”などをやろうなどとは思いも寄らなかった。

しかし今思えば、町のホールなどを借りて開催される自主制作ライヴなどがそれに当てはまると思う。

高校に入ってバンドを組むと、始めのうちはたいがい先輩達が企画しているライヴの話しに乗っかって出演させてもらうのだが、そのうち自分らが中心になって企画したライヴをやりたくなる。

どういった経緯だったか高校2年の夏、私自身が主催者になって数バンドを集めライヴをやったことがあった。

普段ライヴが開催される“大ホール”だと、照明やPAをレンタルしオペレーターを呼んだり、場合によってはチケットを売ったりといろいろと手続きが多いので、同じ建物内の“音楽室”を借りて入場無料で開催した。

そうするとPAはホールより小規模のモノをレンタルして、ミキサーも自分達で操作できるので運営が簡単なのである。

チラシを刷ったりなんやかんや、あれは楽しかったなあ・・・今思うと(遠い目)。

小説のように高校生500人とはいかなかったが、大きさは学校の教室ほどある音楽室に何十人かが詰め掛けた。小説と同じように近所の不良グループも来た(祭りごとによくある風景)。

小説のようにイベントを通じて学校のマドンナとお近づきになれた・・・ら、いいなぁとゆう妄想はあったと思うが、とくにその点に関しては何も起こらなかった。

その後、あまり間を置かずにホールでのライヴも一度自分が窓口になって開催されたが、初めてとゆうことで音楽室でのライヴの方が印象に残っている。

あらためて今、こうやって出来事を対象化すると凄く楽しかった気がするが、ライヴの、演奏中のことはともかく、あれが“イベント”だったんだとゆう楽しさの記憶は大人になってからすっかり忘れていた。

髪の毛とかバッチリとセットしたりノリノリで演奏しても、音楽室でのライヴって、ちょっと物語になりにくかもんね。

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