ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

次郎長・お蝶ふたり笠

PEALOUT / GYRO (1998)

鐘の音に導かれて始まり、ミドル・テンポのリズムに乗って、一音一音、噛み締めるように奏でてゆく表題曲はバンドのストイックな姿勢を体現しているようだ。そんな印象も手伝って、歪んだ轟音のギターが音像の中でうねっているが、その出音のトータルな印象は決して粗暴なものではない。激しくも優しい音楽だ。

この、1998年に出た3曲入りシングル『GYRO』発表時、ピールアウトのインストア・ライヴを目撃した。

インストアだと、ロック・バンドでも周りの環境に配慮してアコースティック・セットで演奏することが多いが、このときはPAこそインストア用の小規模なシステムだったが、バンドはフル・セットでという演奏を聴くことが出来た。

インストア・ライヴにもかかわらず、まさに全身全霊でぶつかってくる強烈なパフォーマンスだった。まあインストアだからといって手を抜くアーティストもいないと思うが、PAは貧弱、照明は蛍光灯、周りにはライヴと無関係にCDを探す一般客がいる等の悪条件である。そこで彼らは火の出るようなライヴを繰り広げていた。

‘98年前後は、ミッシェル・ガン・エレファントブランキー・ジェット・シティを中心に国内で“音の大きなバンド”が元気だったように記憶する。

その中でもピールアウトはメロディが立っていて、爆音で鳴らす激しい曲がありながら、繊細な静の面部分も持ち合わせている。『GYRO』は全編英詩だが後に日本語詩も導入、トリオ編成は変えずにライヴ中のパート・チェンジでピアノを軸とした曲を展開するなど、表現の幅を広げた。そして良質の作品をリリースし良心的な音楽ファンに愛されていたというイメージがあるが、大ブレイクした感じではない。

なんでもかんでも売れてしまえばいいということでもないが、もう少し有名になっても良かったような気もする。

GYROGYRO

(1998/09/02)

PEALOUT

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(2005/10/26)

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