ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

悪徳のジャングル

PRINCESS PRINCESS / HERE WE ARE (1988) 

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1980年代中盤の数年間、(私の周りでは)男子高校生がバンドを組んで誰かのコピーをするといったら、もうほとんど判を押したようにメタルだったのである。そして何割かはパンク。

BOØWYのコピーが圧倒的多数になるのは本家が解散後のことであった。

途中で所謂ヘヴィ・メタルから派生してロックンロール系に乗り換えるやつがいたり(私です)、学年がひとつ違うと事情がまったく違ったり、地域格差だったりといろいろあるが、それを言うとキリがないのでここでは詳しくは触れない。

時代は同じなのに、U2、ジーザス&メリーチェイン、ザ・スミス、アズテック・カメラやろうぜってヤツはヒっっっっっっっっっっとりもいなかったね。少なくとも周りには。

まあ俺も含めてだ・け・ど。

一方の女子高生はというと、誰の曲をコピーするで、かなり迷走していたと記憶している。

当時のガールズ・バンドといえばゼルダだ。しかしこれは、ロック、サブカルに疎い一般高校生を相手に演奏してもほとんどウケていなかった。

メタル全盛とゆうことで、浜田麻里をやってみる。これはバックがバカテクなので、メンバーが全員女子高生だと再現性に問題があった。

レベッカだって紅一点の編成だ。

しまいには歌謡曲をアレンジして演奏したり・・・

選曲にはかなり苦労していたようだ。

そんな中、登場した救世主がプリンセス・プリンセスだ。

メンバー全員女性、バンド・サウンド、親しみやすい曲調。これはバンドでやるしかない。

そしてプリンセス・プリンセスの知名度自体が急速に上がっていった。

・・・ライヴで、ウケた。

悔しいぐらいにウケていた。

そんなプリンセス・プリンセスの2ndアルバムが『Here We Are』である。

実質3枚目だが、最初に出た『Kissで犯罪』はミニ・アルバムであり、外部の作家が大半の曲を作っているのでオリジナル・アルバムには数えないらしい。

ヴィクトリアのCMに起用された『MY WILL』や、最重要曲であろう『19 GROWING UP-ode to my buddy-』など、本格的ブレイクに向かってゆく勢いが感じられる楽曲が並んでいる。

後期に比べると、凝ったアレンジも少ないし、シンプルなバンド・サウンドなので高校生にコピーしやすい曲も多かったようだ。

ところで、プリンセス・プリンセスのことを「ごった煮ミクスチャー・バンド」と呼ぶ者はいないだろう。

その音は”ガールズ・バンド”の音であり、プリンセス・プリンセスの音以外の何物でもない。

彼女らは、キャロル・キングが好きな人と、ジョーン・ジェットが好きな人と、ボズ・スキャッグスを好きな人と、ピーター・ガブリエルを好きな人、TENSAWを好きな人・・・がオーディションで集まって結成したバンドだ。

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(2008/07/02)

PRINCESS PRINCESS

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