ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

何故なら私、妄想少女ですの

ピンク・フロイド / 永遠(TOWA) (2014)

Pink Floyd /The Endless River

と、いうことでピンク・フロイドの新作を聴いた。

いろいろと、特異な状況で作られたもので、本人らによるとこれがラスト・アルバムとなるらしい。前作、『対』の頃に録音された音源を使用…ということは、20年前の音と最近の音が同居しているのか。そして20年前にキーボードを弾いていたリック・ライトはもうこの世にいない。

『対』のセッション時に録音された物を使用ということで、感触としてはやはりそれに近い。まあ当然というか、『対』に収録されていたインスト・ナンバーと兄弟のような曲たちだ。そして聴き進んでみると、『クレイジー・ダイヤモンド』っぽかったり、『神秘』を彷彿させるようなフリーキーなトラックもある。一部を除いて曲が短く、2分に満たないトラックが多い。ロック・バンドのアルバムとして向き合う作品というよりは、構想にあったように映像作品のサントラといった趣。ロック・バンドのアルバムではないといえばそれまで。ロジャー・ウォーターズ在籍時、とくにその後期とは比較しようもない。『ラウダー・ザン・ワーズ~終曲』以外は歌詞によるメッセージがないので、次第に言葉が強くなっていったロジャー時代のフロイドとは、比較自体意味がない。いろいろと条件付きではあるが、ある意味これがデヴィッド・ギルモア、リック・ライト、ニック・メイスンによるピンク・フロイドの正解なのかもしれない。

これがラスト・アルバムと宣言されており、シド・バレットもリック・ライトも死に、もっと言えばマネージャーだったスティーヴ・オラーク、ジャケットを手掛けていたヒプノシスのストーム・ソーガソンも死んだ。それで、まるであの世にいるような楽曲群を聴いていると、ロックも、人間が生きる世界もすべてが終わって、天国に船を漕ぎ出すような気分になってしまう。だが本作はリック・ライトへのトリビュートであり、リスナーはまだしばらく、こっちの世界で生き続けなければいけない。

Endless RiverEndless River

(2014/11/10)

Pink Floyd

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