ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

体育館で朝食を

LUNA SEA / LUNA SEA (1991)

 

さっきこのアルバムを、電車の中でイヤホンして聴いていた、びっくりするくらい軽い音が飛び出してきて、「イヤホンのジャックが抜けていiPhoneのスピーカーから音が出ちゃってるのか?」と思って確認してしまった。ジャックはちゃんと刺さったままだった。このアルバムだけ単体で聴いたときにはそんな音質については気付かなかった。今日みたいに、他のアーティストのアルバムを聴いて、間を置かずにこれを聴いたら分かるんだよ。なぜ、これだけ聴いただけだと分からないかというと、詰まっている世界観が、インディーズのチープな音を補完しているから分からないんだよ。デッド・エンドの『DEAD LINE』だって、サブラベルズの『サブラベルズ』だってそう。

で、この作品を俺は最近になって聴いたんだよね。リリースの1991年当時、21歳の青年はメンバーが21歳~22歳の国産ロック・バンドには入れ込まないんだよ。聴かないんだよ。いや洋楽でもかな?“ロック=アニキ説”だから。2013年になって、あえて聴いてみたのは、おっさんになるとそこらへん寛容になるから。

自分がおっさんになり聴いてみて感じたのは、この世代、この界隈で多くのバンドが影響を受けているBOØWYバクチクのエッセンスは、ダシ程度に入っていても、直接的にはそれらのバンドどちらとも似ていない。こちらの方がもっとデカダンで急性だ。メタル・インディーズ・シーンの中から現れて、脱メタルを図ったデッド・エンド、デランジェ、パンクからハード・ロックに寄るアプローチがあったガスタンクなどそれぞれの遺伝子は入っているけど攪拌されているのでどこがどう似ているといったレベルでは現れていない。直接的にレーベルの先輩というかボスであるXとも似ていない。テンポが速い曲は共通点としてある。しかしXはへヴィ・メタルのリフで、こちらは速い曲でもギターのコード・ストロークアルペジオが乗っていたりする。海外のキュアー、バウハウス、ミッシング・パーソンズ、ジャパン等など、要素がいろいろ入ってるっぽくて、でもしかしそれらがゴチャ混ぜで、そのゴチャ混ぜが単純な足し算ではなくて、また違うアウトプット回路を通っているので、結果何者とも似ていないオリジナリティとなっている。

あと単純に、同世代で音楽性が近い…つまり彼らと同じようなルーツを持っているバンドに比べ、演奏力と歌唱力が秀でている。の・で・後にジャパニーズ・ロック界に氾濫する、所謂ヴィジュアル系と呼ばれるバンドの中でトップランナーに躍り出たんだろうなあ。この、チープな音質のアルバムには、そこに至る爆発力が詰まっている。と、もう語り尽くされた平凡な感想しか出てこないのでそろそろ締めに入るよ。

で、今回の記事で一番凄いのは、当時聴いていなかったこの作品に、他の古今東西様々なロックとか、ジャズとかブルースとか、ももいろクローバーZとかを経て、一回りか二回りした上で、そろそろ聴いてみるかなあと思って手を伸ばした俺の好奇心というか探究心というか、心の広さ。それが凄いんだよね。ビックリしちゃうよ。

LUNA  SEALUNA SEA

(1995/01/01)

LUNA SEA

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