ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ザ・デヴィル・プット・ダイナソーズ・ヒア

椎名誠 / 新宿遊牧民

 

椎名誠の、自伝的物語としては、『新宿熱風どかどか団』に続くもので、 映画会社『ホネ・フィルム』の立ち上げが書いてあるということは、90年代初頭あたりからの話になるのかな?90年というと、俺にとっては一昨日ぐらいの感覚なので、読み進むテンションとしては、フツーのエッセイとそんなに区別つかなくなる。椎名誠の行動、そのパワフルさは相変わらずだけど、ホネ・フィルム最後の映画が興行的に失敗してしまうところや、何人かの友人が死んでしまうとか、そういった部分に目がいった。この場合の‟死”は、病死ね。年齢的にもそういった事実と向き合う場面が多くなるということか。

このシリーズ(?)で、俺がかなり好きな場面は、『本の雑誌血風録』のラスト、サラリーマンを辞めて作家になることと、『本の雑誌』を会社にすることを決意した椎名誠が、歳末の銀座を歩きながら「これからだな」と思うところ。この本では新宿でビルの屋上にモンゴルで遊牧民が使っている住居『ゲル』を建てるくだりがクライマックスで、その完成したゲルが台風で倒壊してしまう。ゲル追悼のために仲間と集まってビールを飲んでいるラストシーンで「俺たちはまだ終わりではないかもしれない」と椎名は思う。これってべつに意識したわけではないんだろうけど、なんとなく対比として引っかかった。というか、それよりみなさん!普段ブックオフで105円コーナーしか見ない俺が、この本は通常価格コーナーから420円で買っちゃった。それが一大事だ。あ、105円で買っても420円で買っても作者、出版社には一銭も入らないか。だからなんなんだよこの締め方は。 いい加減にしろよ。

新宿遊牧民 (講談社文庫)新宿遊牧民 (講談社文庫)

(2012/11/15)

椎名 誠

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