『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。
入稿 2014/02/08
Grateful Dead / Workingman's Dead (1970)
1. Uncle John's Band
2. High Time
3. Dire Wolf
4. New Speedway Boogie
5. Cumberland Blues
6. Black Peter
7. Easy Wind
8. Casey Jones
グレイトフル・デッドの魅力、そのひとつはインプロヴィゼーションを多用したサイケデリックかつ実験的なサウンド。その一方で、アメリカのルーツ・ミュージック、カントリーやブルース、フォーク、そしてブルーグラスなどを探求する姿勢というものがある。本作はその方向性がはっきりと表れたアルバムで、サイケデリック・サイドの楽曲とはまた違った趣がある。
アルバムがリリースされた1970年は、ウッドストック・フェスティヴァルの翌年。ヒッピー文化、サイケデリック・ムーヴメントにも一区切りがついたことの表れか、トリップするようなサイケデリック・テイストではなく、アコースティック楽器の音と、爽やかなコーラス・ワークが目立つ作品となった。そでれよく引き合いに出されるのが、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(CSN&Y)との類似性。実際にデッドのジェリー・ガルシアは同年リリースされたCSN&Yのアルバム『Déjà Vu』でスティール・ギターを弾いている。お互いに影響しあっているのだろう。
収録曲はどの曲もコンパクトにまとまっており、歌ものとして完成度が高い。全編を通して、デッドのフィルターを通したルーツ・ミュージックの味わいが散りばめられているのだ。 (Jeff Goldsmith)