『しし唐、ズッキーニ、ナスの炒め物』
料理を始めた頃は、何がなんだかよく分っていないので、料理本で作るものを決めてから買出しに行き、店頭を見ると欲しいもの置いていないという事態に遭遇して、その場で硬直していました。肉は一年中ありますが、野菜と魚介類は季節ごとにものが違うことまで頭が回りませんでしたね。最近は旬のものもなんとなく分ってきました。
なので、しし唐とズッキーニを使います。
<材料>
- しし唐 5本
- ズッキーニ 1/2本
- ナス 1/2本
- 削り鰹 適量
- 醤油 小さじ1杯
- だし汁 少々
- みりん 少々
- ごま油 少々
ナス、ズッキーニは輪切りにし、しし唐には包丁で切れ目を入れます。フライパンに少量のごま油を敷き、熱します。すると、スタジオの重い防音扉が静かに開いて、ニックが入ってきた。その後には、ダブルのライダース・ジャケットを着た、痩せっぽちの男が立っていた。「どうぞ」とニックが促すと、男はスタジオの中に入った。
「こいつ、ピーちゃん」と、ニックが男を紹介すると、「どうもぉ」と男は微笑んだ。「よろしく」と俺は答えた。
挨拶をして微笑んだピーちゃんは前歯が一本なかった。さらに眉毛もなかった。ギター・ケースを開ける動作とともに、カチカチに固めた赤いモヒカンヘアーが小刻みに震えた。ビリビリに破れたジーンズから、ヒザ小僧が顔を出している。
ギター・ケースから取り出されたのは、白いワーロック・タイプのギターだった。白地に、赤い血のりのペイントが施されていた。フロイド・ローズではなく、ケーラーのトレモロ・ユニットがマウントされている。
ギターのセッティングをしているピーちゃんにいくつか質問をする。出身、好きなミュージシャン、今までの活動など、彼は気さくに答えた。悪いやつではなさそうだ。
質疑応答は基本的に俺とピーチャンの間で交わされた。要所で、どちらとも知り合いであるニックが、補足するように2人の会話に入ってきた。
そうこうしているうちに、ピーちゃんはアンプのヴォリュームとトーンの調整を済ませ、最終的なギターのチューニングに入った。6弦から1弦まで2回、メーターで確認すると、フリー・テンポで指慣らし的なフレーズを奏でた。
そして、ケニー・バレルの『ミッドナイト・ブルー』を、素晴らしくスムーズな運指で、パラりパラりと弾きだした。
その美しさに、俺は思わずニヤケた。そして、スティックを拾い上げ、追ってリズムを刻みだした。ベースのセッティングを済ませたニックも、それに続いた。
出来上がりです。ズッキーニってカボチャの仲間なんですね。
ROBOT魂 (2011/10/31) |