ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

黄金のスペクトル

飯島真理 / シュペール 飯島真理ベスト (1986)

Super Mari Iijima Best

ベスト・アルバムを取り上げるのは気が引けるが(しかもレンタル落ちの中古だぜぃ)、ビクター時代のオリジナル・アルバムがまったく手元に残っていない。中学生のときに4枚目まで(に加えて企画盤やシングルも)揃えていたが、高校生になって手放してしまった。

久しぶりに聴いてみて、“世界のサカモト”坂本龍一プロデュースの1stアルバム『Rose'』からの曲がやはり凄い。故・大村憲司のギターをはじめ、バックの演奏も豪華。ニュー・ミュージック~シティ・ポップス期の隠れた名盤といった感じだ。『Mr.Groovy』で一方通行の三角関係が喋り言葉調で展開してゆく様などは、見事なストーリー・テラーぶりに脱帽だ。

持っていた中で当時、最もよく聴いていたのは最初の2枚。1stと吉田美奈子プロデュースの2ndアルバム『blanche』で、中学生だった自分に教授プロデュースと吉田美奈子プロデュースの違いなぞ分かるはずもないが、どうもふたつのアルバムはかなり方向性が違うらしい。「よく聴いていた」と言っておきながら「・・・らしい」とは、酷い話だが、前述したようにモノを大昔に手放してしまって、まあ要は作品の全貌を忘れてしまっているのでありますね。

このベストに入っている1stから3曲、2ndから2曲だけで分かる両者の違いといえば、ヴォーカルにかかるイコライジングやリヴァーブ感、ストリングスのあて方の違いぐらいか。

清水信之プロデュースの3rd『Midori』になると、ドライヴさせたギターの刻みや、派手なキーボードの音色など、わりと分かりやすいポップなアレンジとなっている。

そういえば、飯島真理大江千里の共演でテレビ番組(ラジオだったっけ?)1本作ったというのを観た記憶があるのだが、そのときは「何故、この2人が」と思っていたが、あれは“清水信之繋がり”ということだったのだろうか。

初期3作の中では、やはり1stの出来が突出しているという評価のようだ。坂本龍一プロデュースが効いているということもあるし、デビュー・アルバムならではのマジックが働いているとゆうこともあるだろう。身も蓋もないことを言ってしまえば、アマチュア時代に書き溜めたストックを一気に吐き出すといったこともあるのかもしれない。

こうして、あらためて聴いてみると、作詞・作曲を自身で行う彼女の曲の中で、安井かずみ加藤和彦夫妻コンビが作詞・作曲を担当した最大のヒット曲『超時空要塞マクロス』の主題歌『愛・おぼえていますか』は異色の作風だ。

今更の事実だが、『マクロス』やこの歌とは、ブレイク以来何十年、決別したり和解したりと、なかなか一筋縄ではいかない関係のようだ。

そんな、予期せぬ形でブレイクしたこともあり、当時発売された“片面スタジオ、片面ライヴ”という内容のベスト盤『Varie'e』のライヴ・サイドには、客席からの、かなりアイドル的なコールなどが入っていたと思う。当時はあまり深く考えず聴いていたが、国立音大から坂本龍一プロデュースで本格的シンガー・ソングライターとしてデビューしたことを考えると少し違和感がある。今思えばだが・・・

何も咲かずに消えてゆく人が大多数とゆうことを考えると、ときに表現者はこのような引き裂かれた状況も受け入れて生きてゆくしかないとゆうことだろうか。

・・・などと書いていたら初期3作、とくに1stアルバムはもう一度入手して、ちゃんと通して聴きたくなってしまった。

Rose(ロゼ)(紙ジャケット仕様)Rose(ロゼ)(紙ジャケット仕様)

(2007/01/24)

飯島真理坂本龍一

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シュペール 飯島真理ベストシュペール 飯島真理ベスト

(1986/09/05)

飯島真理

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