ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2013/05/08

 

Bert JanschJohn Renbourn / Bert And John (1966)

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1. East Wind
2. Piano Tune
3. Goodbye Pork Pie Hat
4. Soho
5. Tic-Tocative
6. Orlando
7. Reds Favourite
8. No Exit
9. Along The Way
10. The Time Has Come
11. Stepping Stones
12. After The Dance

 

後にフォーク・ロック・バンドのペンタングルを結成することとなる二人のギタリスト、バート・ヤンシュとジョン・レンボーンが1966年に発表したデュオ・アルバムである。一部のヴォーカル入りトラックを除いて、鳴っているのは二本のアコースティック・ギターのみといった、極めてシンプルな作品となっている。

緻密に構築されたペンタングルの音に対し、こちらは気ままでラフな、ギターのある生活、その日常を切り取った気ままなセッションのようにも聞こえる。実際に、このアルバムのレコーディングは、二人が共同生活をしていたアパートで行われたそうだ。そんな、リラックスした雰囲気を出しつつも、二人が奏でる旋律は、互いのフレーズが離れたりくっついたり、追いかけ合ったりと、見事に練られている。注意深く聴くと、かなりスリリングなのだ。

トラッド・フォーク、ブルース、ジャズ、バロックといった様々な音楽をブレンドした独特のスタイル。そんな英国の風土、空気を映し出したような独特の湿度を持つこの作品は、米国ブルースとも、ハード・ロックのギター・バトルとも違う、なんとも味わいのある、ギターでの会話が聞こえてくるアルバムだ。(Jeff Goldsmith)

 

 

Bert & John

Bert & John

 

 

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2013/03/22

 

Jimi Hendrix / People Hell & Angels (2013)

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1. Earth Blues
2. Somewhere
3. Hear My Train A Comin'
4. Bleeding Heart
5. Let Me Move You
6. Izabella
7. Easy Blues
8. Crash Landing
9. Inside Out
10. Hey Gypsy Boy
11. Mojo Man
12. Villanova Junction Blues

 

ジミ・ヘンドリックスが、1968年から69年にかけて残したスタジオ録音から厳選された、音源集である。ここには、エクスペリエンス以降のスタイルを確率すべく、セッションを繰り返していたジミの姿が克明に記録されている。多くはバンド・オブ・ジプシーズのリズム隊であるビリー・コックス、バディ・マイルスと組んだ演奏。それを中心に、曲によってはエクスペリエンスのミッチ・ミッチェルがドラムを叩いていたり、その他様々なミュージシャンが参加している。プレイ自体の聴きどころというよりは、トリビア的なもので、バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスがギターではなくベースで参加しているという曲もある。

ロック・バンド然としていたエクスペリエンスに対し、本作に収録されている頃のサウンドは、ファンクに接近するなど黒人音楽の要素が強くなっている。白人二人を従えたエクスペリエンスに対し、バンド・オブ・ジプシーズはジミを含め黒人三人の編成となったためか、R&Bやファンクのノリを感じる。ロックのスピード感よりも、一定のテンションを保ちながらの反復で聴く者を引き込むような、ファンクなどが持つリズムの特色が色濃く出ている。黒人ミュージシャンとしてロックに革命をもたらしたジミが、あらためて黒人音楽との向き合い方を模索しているようにも思える。

ロック・バンドとして完成されたエクスペリエンスを解体し、次なる方向性を探したジミの思いは、形になることなく本人が他界してしまった。オリジナル・アルバムとは呼びにくい本作には、ジミの考えていた新しいロックのヒント、その断片が散らばっている。それを拾い集めて、その後のジミを想像するのが、楽しい聴き方かもしれない。(Jeff Goldsmith)

 

 

PEOPLE, HELL & ANGELS

PEOPLE, HELL & ANGELS

 

 

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2013/02/22

 

The Almighty / Crank (1994)

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1. Ultraviolent
2. Wrench
3. The Unreal Thing
4. Jonestown Mind
5. Move Right in
6. Crank and Deceit
7. United State of Apathy
8. Welcome to Defiance
9. Way Beyond Belief
10. Crackdown
11. Sorry for Nothing
12. Cheat

 

スコットランド出身のヘヴィ・メタル/ハード・ロック・バンド、ジ・オールマイティーが1994年に発表した『Crank』。本作が彼らの最高傑作とされている。

どこかのジャンルに組み込むなら、一番近いということでへヴィ・メタルの枠にカテゴライズされる彼らだが、ドラマティックな曲展開、ハイ・トーンのヴォーカル、速弾きギター・ソロなど、へヴィ・メタルの様式に従ったアピールをするバンドではない。彼らは力押しともいえるリフで勝負のバンドだ。パンクにも近いがパンク・シーンのバンドという感じでもない。メタル、パンク、どちらの要素もあり、そのどちらでもない。当時流行っていたグランジ/オルタナティヴのグルーヴとも違う。ロック・ミュージックを、衝動のままに思い切りうるさく、激しく鳴らしたらこうなったというのが彼らの音楽だ。

彼らのサウンドが持つ特徴として、タフなリズム、リフにキャッチーなメロディが乗っているというのがある。よくある「ポップでキャッチー」ではない。キャッチーであるがポップではないのだ。アンチ・ポップとキャッチーを両立しているのがジ・オールマイティーの独自性であり、魅力である。骨太なリズムと筋肉質なメロディで、ひたすら押しの連打、ほとんど緩急なく、終始マックスのテンションでアルバム一枚聴かせてしまう『Crank』。彼らのメタル的、パンク的要素、リフの良さ、メロディの良さ、アンチ・ポップとキャッチーのバランスなど、様々な要素が幸せな形、奇跡的なポイントでクロスした、見事な作品と言える。(Jeff Goldsmith)

 

 

 

Crank

Crank

 

 

 

マギーズ・ファーム野茂

Tom Petty & The Heartbreakers / The Live Anthology (2009)

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トム・ペティのアルバムで一番好きなのは、ソロ名義で1994年に出した『ワイルドフラワーズ』なのね。リック・ルービンがプロデュースしたやつ。ブレイク作で代表作の『破壊』は大好きというには音がちょっとネックで。1979年の作品だから、70年代的な音作りから80年代的なものに移り変わってく頃で、パンク、ニューウェーヴとかの時代でもあるし。自分としてはスクエアな感じの音がルーツ・ミュージック的な味と食い合わせが良くなくて。

で、このライヴ・アンソロジーは1980年から2006年までのパフォーマンスが時代ごちゃまぜ、時系列でない並びで入ってるのね。ライヴ音源だと、スタジオ・ワークとはまた違った音で、2000年代のと自然に混ざり合って、音の時代性に閉じ込められなく聴ける。そうすると、1980年前後の作品も、この曲こんな聞こえ方するんだとか発見があったり。そういった点で良かった。

あと、けっこうカヴァーが入ってるなあ。グレイトフル・デッドとかブッカー・T&ザ・MG'sとかとか、ヴァン・モリソンとか、いろいろ。つうかブッカー・Tってインストだぞ。

つうか!トム・ペティって、2014年のアルバムでアメリカ1位獲ってんのな!日本との温度差凄いな!

 

 

 

Live Anthology

Live Anthology

 

 

マギーズ・ファーム野茂

Pink Floyd / 1970 Devi/ation (2017)

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やっと『原子心母』の時期まで来た…

 

で、とにかく収録時間が長いので相変わらず内容が覚えられないんだけど。とりあえず『原子心母』が3ヴァージョン入ってるってことだけははっきり言える。1970年11月のモントルー、7月のBBCセッション…時系列が逆に入ってるのか。『原子心母』アルバムの発売は10月。あとスタジオの別ヴァージョン。

モントルーはバンドの音と女声コーラスが入ってた。BBCではさらにブラスも入ってる。あ!アルバムのヴァージョンで弦のフレーズを管でやってるよねこれ。最後に入ってるスタジオの別ヴァージョンはバンドのみの演奏で、ニックのドラムがまったく違うところがあったりして。『原子心母』って、管、弦、コーラスにSEまで入ると、何か得体のしれない存在になるところ、バンドのみの演奏だとこれはやっぱロックだなあとか思った。たぶん。

 

 

 

1970 Devi/Ation

1970 Devi/Ation

 

 

 

 

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2013/01/31

 

Van Halen / A Different Kind of Truth (2012)

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1. Tattoo
2. She's The Woman
3. You And Your Blues
4. China Town
5. Blood And Fire
6. Bullethead
7. As Is
8. Honeybabysweetiedoll
9. The Trouble With Never
10. Outta Space
11. Stay Frosty
12. Big River
13. Beats Workin’

 

ままならぬヴォーカリスト人事、エディ・ヴァン・ヘイレンの癌闘病、結成以来のベーシスト、マイケル・アンソニーと決別など、1990年代後半からの数年間はヴァン・ヘイレンにとって厳しい季節であった。とうとうバンドは、事実上の解散状態にまで陥ってしまう。

2006年、マイケル・アンソニーに代わってエディの実子、ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンが加入。そしてバンドが再び立ち上がるため、最後に切られたカードは、初代ヴォーカリスト、ディッド・リー・ロスの本格復帰であった。

1998年以来となるアルバム『A Different Kind of Truth 』。仕上がった音を聴くと、大ヒットした『1984』、あるいはそれ以前のテイストに引き戻されたという感じはしない。エディが放つサウンドのエッジは1990年代以降のスタイルで、そこからサミー・ヘイガーが歌うバラード、情緒性で聴かせるようなポップ・ソングが差し引かれて、それらに代わりデイヴのキャラクターが活きる曲が並んでいるといったところか。それにしても、デイヴが歌うとここまで泣きの要素が排除されるという割り切り方が凄い。ある程度の押し引き、ハードかブルージーかのバリエーションはあるにせよ、メロウ感なしにここまで聴かせてしまうという、力技でリスナーを捻じ伏せてしまう。

ウルフギャングが入ったことで、楽器陣はドラマーのアレックスを含めてヴァン・ヘイレン・ファミリー3人の演奏となった。そのグルーヴの上でデイヴが吠えるという構図が21世紀型のヴァン・ヘイレンだ。(Jeffgoldsmith)

 

 

A Different Kind of Truth

A Different Kind of Truth

 

 

マギーズ・ファーム野茂

Pink Floyd / 1969 Dramatis/ation (2017)

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あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…やっと3枚目まで来たけど…

なんせ29曲も入ってるから、最後まで聴くと最初の方をもう忘れてて、何も感想が出てこない。

『More』の未発表曲から始まって、1,969年5月のBBCセッション、8月、9月のアムステルダム公演と続いて…それはまあクレジット見ればわかるとして…やっぱこのフォーマットで聴くと邦題じゃないのが辛い。フロイドは邦題見ながらじゃないと調子狂うなあ…

 

 

1969 Dramatis/Ation

1969 Dramatis/Ation