ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2013/02/22

 

The Almighty / Crank (1994)

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1. Ultraviolent
2. Wrench
3. The Unreal Thing
4. Jonestown Mind
5. Move Right in
6. Crank and Deceit
7. United State of Apathy
8. Welcome to Defiance
9. Way Beyond Belief
10. Crackdown
11. Sorry for Nothing
12. Cheat

 

スコットランド出身のヘヴィ・メタル/ハード・ロック・バンド、ジ・オールマイティーが1994年に発表した『Crank』。本作が彼らの最高傑作とされている。

どこかのジャンルに組み込むなら、一番近いということでへヴィ・メタルの枠にカテゴライズされる彼らだが、ドラマティックな曲展開、ハイ・トーンのヴォーカル、速弾きギター・ソロなど、へヴィ・メタルの様式に従ったアピールをするバンドではない。彼らは力押しともいえるリフで勝負のバンドだ。パンクにも近いがパンク・シーンのバンドという感じでもない。メタル、パンク、どちらの要素もあり、そのどちらでもない。当時流行っていたグランジ/オルタナティヴのグルーヴとも違う。ロック・ミュージックを、衝動のままに思い切りうるさく、激しく鳴らしたらこうなったというのが彼らの音楽だ。

彼らのサウンドが持つ特徴として、タフなリズム、リフにキャッチーなメロディが乗っているというのがある。よくある「ポップでキャッチー」ではない。キャッチーであるがポップではないのだ。アンチ・ポップとキャッチーを両立しているのがジ・オールマイティーの独自性であり、魅力である。骨太なリズムと筋肉質なメロディで、ひたすら押しの連打、ほとんど緩急なく、終始マックスのテンションでアルバム一枚聴かせてしまう『Crank』。彼らのメタル的、パンク的要素、リフの良さ、メロディの良さ、アンチ・ポップとキャッチーのバランスなど、様々な要素が幸せな形、奇跡的なポイントでクロスした、見事な作品と言える。(Jeff Goldsmith)

 

 

 

Crank

Crank