ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ゆ・れ・て湘南

Blankey Jet City / Love Flash Fever (1997)

 

前作『Skunk』で、憧れているのが“アラスカ帰りのチェインソー”だなんて、素晴らしすぎる歌詞を世に送り出してしまったブランキーが、土屋昌巳プロデュースを離れセルフ・プロデュースでの製作となった『Love Flash Fever』。

ブランキーのポテンシャルを活かしきれなかった1stアルバムの音作りから、土屋氏は飛躍的にそのクオリティを上げてくれた。その手腕はもとより、ブランキーとの相性も最高だと思っていたので袂を分かつのは惜しかったが、ブランキーがセルフ・プロデュースで作り上げた音はさらにすさまじいモノだった。

20秒近くに及ぶ、ギターのブラッシング音のみが響くオープニングから幕を開けるこのアルバムの音はとても硬質で、プリミティヴ。極限まで荒々しい音だが破綻していない。結果、彼らのセルフ・プロデュースは大成功したようだ。

生々しいサウンドに乗って、それぞれ関係性が無いように思える言葉が、連想ゲームのように次々と放たれてゆく。

メンバー以外に道筋を照らす役のプロデューサーを立てず、制御不能になるスレスレのところを巧みなハンドル捌きで操っている感覚がこのアルバムの凄いところ。

野性的でザラついた世界を突き進んで、アルバムはラストの『海を探す』の繊細な世界までたどり着くのだった。

ベンジーが使用するグレッチのテネシアンは、元々カントリー・ミュージック等に用いられていたギターだ。

ハイ・パワーなピックアップを搭載しラウドなロックのために作られたギターよりも、何倍も危ない音を鳴らしている。

発売当時、「この音はいったいどうなっているのだ?」と、思わずスピーカーL―Rの間に頭を突っ込んで聴き入ってしまった。

このまま、こういった路線を突き進むかと思われたが、そこでの臨界点に到達してしまうともう同じようなモノを作ることはなく、次のアルバム『ロメオの心臓』はドラムのサンプリング、ループを多用した問題作となった。

LOVE FLASH FEVERLOVE FLASH FEVER

(1997/06/18)

BLANKEY JET CITY

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