ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ビヨンド・アンド・ビフォア

クレイジーケンバンド / 777 (2003)

冒頭のナンバー、『7時77分』の中で「お聴きください、クレイジーケンバンドのニュー・アルバム、『777』・・・」というナレーションが入っているので、これを聴く度、永遠にニュー・アルバムとなってしまう2003年の作品。

このアルバムに限ったことではないが、ソウル、ボサ・ノヴァ、ロックンロール、ジミヘン(正確には“韓国のジミヘン、シン・ジュンヒョンのカヴァー”)、昭和歌謡、はては「だっふんだ」までを違和感なく混ぜて料理してしまうセンスは最高。

『夜のヴィブラート』は、昭和のムード歌謡なのに、リズムがHIP HOP、ライムスターのラップも入っている。そんなミクスチャーだが、“とって付けた感”がない。

そしてすぐに続く『夜のヴィブラートKQ仕様』では横山剣がまったく韻を踏んでいないラップを披露しているのだが、その内容は“KQ”=京浜急行賛歌となっている。イーネッ!イーネッ!

オッサン的な部分を自ら前面に出しつつも、その音楽センス、編集感覚はすこぶる若い、50歳になろうという横山剣が、20代前半のリスナーを躍らせることも少なくないと思う。

最近は昔より、リスナーの年齢層とアーティストの年齢や時代(現役ベテラン・アーティストとか、既に解散している伝説のバンドとか)などの関係性についてボーダレス化が進んできているように感じる。

もちろん歳の近いアーティストの音楽を聴いている人間の方が割合としては多いと思うが、例えば私も含まれるバンド・ブーム世代とそれ以前のフォーク世代やGS世代との間にあった壁よりは大分風通しが良くなっていると思う。

アナログ盤からCDになっての店舗環境の変化、そして昨今のネット環境の発展、そしてなにより、海外のロック、ポップスの直輸入・模倣からはじまった邦楽がオリジナルとして成熟してきたからであろうか。

2003年、6月の終わりに発売されたこのアルバム、季節は夏、太陽が眩しい中を走るドライヴや、蒸すような夜のナイト・クルージングに似合いそうだが、リリースされた年の夏は曇天続きの冷夏で、関東地方の梅雨明けは8月に入ってからのことであった。7月末まで寒かったのを覚えている。高尾山のビアガーデンは寒かった・・・

最後にもうひとつ。クレイジー・ケン・バンドのドラマー、廣石恵一杉山清貴&オメガトライブにいた人だとは最近まで知らなかった。

777777

(2007/09/03)

クレイジーケンバンド

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