湊かなえ / 告白
いまさらながら読んでみて、いまさらながら面白かった。何故、いまさら読んだかというと、ハードカバーの初版が出て、文庫が出て、文庫がブックオフに流れて、さらにそこで105円コーナーにおさまるまで待たなくてはならないからだよ。いつも言ってるじゃないか。
物語が複数名のモノローグになっているので章ごとに視点が変わる。そうすると、前の章ではまるで悪魔みたいに描かれていた人間が、読み進むと「情状酌量の余地があるかなあ…」とか思えたり、と思えば次の章で「うわーやっぱこいつダメ!ダメ!ダメダメ!」となったり、その感情の揺さぶり方が上手い。
結局どいつもこいつも、人間が持っている負の部分が露になって、何人も人が死んで、行き着く先には救いようのない結末が待っているんだけど、評判になっているような“読後感の悪さ”は恐れていたほどではなかった。もし、先生の娘を殺したなんとか君のお母さんについてっもっと踏み込んだキャラ設定、描写があって、しかもすげー善人に描かれていたらけっこう嫌な気分になったかもな。
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
(2010/04/08) 湊 かなえ |