ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2013/01/16

 

Dr. John / Gris-Gris (1968)

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1. Gris-Gris Gumbo Ya Ya
2. Danse Kalinda Ba Doom
3. Mama Roux
4. Danse Fambeaux
5. Croker Courtbullion
6. Jump Sturdy
7. I Walk On Guilded Splinters

 

ドクター・ジョンは1972年に発表した5作目『Dr. John’s Gumbo』で、自らのルーツであるニューオリンズの音楽を独自のセンスで見事に蘇らせた。今日ではそのアルバムのイメージが強い。彼のデビュー・アルバムであるこの『Gris-Gris』は、『Gumbo』の軽妙さと違い、ディープでヴードゥーチック、かつサイケデリックなサウンドが渦巻く、危険なアルバムである。

ドクター・ジョンの独特な嗄れ声に誘われて、南部の街で怪しい裏通りを徘徊するように作品は進んでいく。民族音楽ともブルースやロックともつかぬリズムや旋律、はじめの口当たりはけっして良くないが、暴力的なまでに反復する呪術的なフレーズは、ハマりだすと癖になる。分かりやすいポップさはないのに、ついつい何度も聴きたくなってしまう不思議な魅力を持ったアルバムだ。

門戸が広く開けられた『Gumbo』と本作の間には、距離感があるようで実はどちらもドクター・ジョンの世界であり、どちらもニューオリンズの文化を体現しているというのは面白い。(Jeff Goldsmith)

 

 

Gris-Gris

Gris-Gris