『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。
入稿 2011/11/20
Whitesnake / Whitesnake (1987)
ホワイトスネイク最大のヒット作であり、音楽的にはギタリスト、ジョン・サイクス在籍時の集大成的な内容の本作。しかし、当時のことを回想しようとすると、まったく違うメンバーの顔が思い浮かぶという、特殊なアルバムである。
アルバム製作後、デヴィッド・カヴァーデイル以外のメンバーが総入れ替えとなり、MTVでヘヴィー・ローテーションされたビデオはエイドリアン・ヴァンデンヴァーグ、ヴィヴィアン・キャンベルのツイン・ギターを配した“80年代メタル、オール・スター”的なラインナップで収録。ツアーもそのメンバー構成で回っているので、リスナーの脳内に保存されている映像と音楽の記憶に食い違いが生じるのだ。
アルバム全体で鳴っているゴージャスなアリーナ・ロック・サウンドは、メンバー差し替え後の派手なヴィジュアル要素と相まって、初期のブルース・ロック然とした魅力から少し距離がある。したがってオールド・ファンの意見を含めるとアルバムの評価も賛否両論あるようだ。それでも、シングル曲をはじめとしてどのナンバーもそのクォリティは他の追随を許さず、“時代を映し出すハード・ロック”としての姿をしては圧倒適に正しい。(Jeff Goldsmith)