ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ヘンリー8世の6人の妻から抜粋

青春18きっぷの旅は家路へと向かう、最終章に突入した。

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3日目の前半はこちら

1月3日の午前中をかけて、金沢の街を徘徊した私は、大江町市場から早歩きで金沢駅に戻り、アワアワしながら土産物を購入。帰路につくための列車に乗り込んだのであった。

13:42 金沢発 JR北陸線下り 普通 黒部行き 15:14着

 

車窓を流れる雪景色。 列車は富山湾、そして日本海を目指す。「帰り道は、時刻表検索を終電の設定で調べてしまったが、雪や風での遅延があったらどうしよう…この寒空の下、雪深いところで時間切れなんてことになったら…カマクラを掘ってそこで寝るのか?」と、考えが頭をよぎる。

 

曇天の下、「黒部行き」とか言われると、なんか身が引き締まるよねえ。 

 

15:35 黒部発 JR北陸線下り 普通 直江津行き 16:56着

 

黒部から直江津まで、の車窓に広がる風景は、この旅何度目かのクライマックスとなった。海側のシートを陣取った私の眼に、鉛色の空、荒れる日本海、辺りを覆う雪と、あまりに正しい冬の日本海的風景がパノラマで映し出されるのであった。ぶっちゃけ、最高。いやまあ、旅行で通り過ぎるだけなので、檻の外から猛獣を観ているというか、実際ここに住んだらムチャクチャ大変だろうけど。傍観者としては最高の見どころであった。

それと、直江津までにもうひとつ、糸魚川を過ぎたところで、列車は交直流切り替え区間を通過。それを伝える車内アナウンスがあり、車内灯が消灯する瞬間、何人かの乗客はカメラやムービーに収めようと機器を構えていた。

直江津に到着した時点で陽が暮れた。日本海とはお別れし、内陸へ。山間部を抜けて我が家のある関東に向かう。

17:21 直江津発 北越急行ほくほく線 下り 普通 18:44 六日町着  

ここから乗る列車は、犀潟より先、JRでなく北越急行の区間となるので、JRの青春18きっぷは使えない。、乗車する際、北越急行の区間分の運賃を運転士に払った。

直江津での乗り換え待ち時間を利用して購入した駅弁。鮭めしと迷いに迷って選んだ『鱈めし』を車内で喰らう。箸を進めると、日本海の味が口の中に広がる。と、同時に匂いも車内に広がる。前後の席にいた人、すまん。なんて呑気に駅弁を食らっていたら、先ほど心配していたとおり、ここで列車に遅れが生じはじめる。前を行く列車が遅れたり、そのあおりを受けて停車したり、運転再開の前に急行の通過待ちをしたり、なかなか思うように進まない。大概の場合、多少遅れても乗り継ぎの列車が待っていてくれるが、今回の道中でも、自分が乗るのとは別の列車だが「接続を断念…」といった放送を一度聞いたし、油断ならない。段々、美味かった弁当の後味も忘れて焦りだす。そして、乗り換えの六日町駅で事件が…

18:52 六日町発 JR上越線 上り 19:51 水上着

六日町駅到着の時点で、次に乗る上越線列車の出発時刻は若干過ぎていた。その列車が待ってくれていることを願い、降りたホームから乗り換えホームへ行くため上り階段をダッシュ!

と、と、と、とりあえずどのホームだ?どこに行けばいいんだ!私はコンコースの窓枠越しに、そこにいた女性駅員を捕まえて尋ねた。

「水上に行くのは何番線ホー…あれ?あんた誰??」

ななななんと、私が慌てて話しかけたのは、女性駅員ではなく、友達同士談笑していた女子高生だったのだ。

「あ、あっちですよ」と、女子高生の指差す方に駅員室があった。駅員室と待合室を間違え、中にいた女子高生に声をかけてしまったのだ。制服だからって全然違うだろうが。何やってんだ。

は、恥ずかしい…とかいってる暇なく、あらためて駅員に聞きなおす。「今、あのホームに電車入ってますよ」と、駅員は答え、私はその列車になんとか乗ることができた。

めでたしめでたし。

じゃねえよ!アホか!!

 

列車が進むにつれ、周りはどんどん雪深くなっていく。日本海側も凄いと思ったが、量的にはその比でない。スキーが出来るくらい積もっている。そりゃそうだ。スキー場の中を縫って走ってんだから。

辺りは真っ暗で、走っていると車窓からはほとんど何も見えない。昼間に走って、この銀世界を眺めたかったな。夜に雪山の中を通るコースどり。つまり京都、金沢の往路復路が何故この順番になったかというと、初日に金沢、そして京都方面から帰ってくるスケジュールだと、東海道線内で夕食、駅弁を食べるタイミングはなさそうと、判断したからであります。昼の雪景色は見ることができなかったが、ときおりスキー場の幻想的なナイター風景が見えた。なかなかの雰囲気である。これはこれで正解か。

水上駅で若干の乗り換え待ち合わせ時間。旅の終わりに飲む、飲み物を何か買おう。ホームにある飲料の自動販売機ではなく、「何かもうちょっと気に入ったものないかな?」と、駅の外に出てみる。駅から道路を挟んだ自動販売機に小銭を入れる。100円を入れた時点で、なんとその100円が投入口にガチっとつまってしまった。なんなんだよ!

次の10円を入れれば落ちるかな?と思ったが、はまった100円玉は外れない。うっわわわわ!時間があるつっても、数分しかないんだよ!ここに100円置いたまま列車に戻るか?100円玉とともに乗り遅れて、こんな寒冷地地でとうしすのか?ここは一旦引き上げて、後日100円を回収しに水上まで来るのか?んなわけないだろ。とかなんとかしているうちに、ももももう出発時刻になる!

ドン!と、硬貨の投入口を叩いたら、100円は販売機の中に落ち、無事につり銭受け取り口から出てきた。ホームまでダッシュ!…したら、水上駅前って積雪防止用のシャワーみたいのが道路から出てるんだけど、あれが少し靴にかかちった。

結局、駅ホーム内の自動販売機で、フツーに缶コーヒーを買い、私は無地に座席まで戻り、列車は再び走り出した。

この前に起こった、六日町での女子高生とのくだりといい、なんかネタっぽいけど、べつに創作したはなしじゃないよ。まあ作り話にしちゃ面白くないし。

20:08 水上発 JR上越線 上り 21:14 高崎着

21:20 高崎発 JR高崎線 上り 22:38 大宮着

車内アナウンスで、高崎の名前を聞く辺りになると、かなり自分の日常に近くなってくる。いや実際は、我が家から高崎ってかなり遠いんだけど。京都から比べればご近所である。

非日常から現実の世界に引き戻されるのが寂しいという気持ちと、早く家に着いて風呂に入って布団に潜り込みたいという気持ちが交差する。車内に日常の空気が満ちてくると、自分の持っている荷物が、なんだか大きく重く感じてしまう。

そして大宮着!!終わった!旅がついに終わった。

数えてみると3日間で、だいたい24時間くらい電車に揺られていた計算になる。それだけ乗りっぱなしだと辛いかなと思ったが、実際にはそうでもなかった。道中、大きトラブルもなく、列車の遅延も、致命的なものはなく予定通りに目的地まで着き、帰ってきた。致命的な、取り返しがつかないものといえば、万全の防寒策として大晦日に購入した使い捨てカイロを、その日のうち、帰宅するまでの間になくしてしまったことぐらいか。使い捨てカイロじゃなくて使わな捨てカイロになってしまった。

カイロのことはいいとして、あれだ。海外旅行に行く人からすると可愛いもんだが、私は私なりに遠くの街を訪れ、徘徊し、いろいろなものを見た。地元や都内以外で正月を味わったのも貴重な体験である。

青春18きっぷの旅は、電車に乗って遠くへ行きたい欲求と、旅先での観光を充実させたい気持ちとのせめぎ合いで、何処に落としどころを見つけるかがポイントである。そこら辺、今回の経験を踏まえて、また挑戦したい。

18きっぷの終着駅は大宮となったが、「お家に帰るまでが遠足ですよ!」という、小学校の先生の教えの通り、大宮から寄り道せずに私鉄に乗って、私は元日夜明け前以来の我が家へと帰るのであった。

おしまい。

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(2008/06)

おとなの青春18きっぷの旅編集部

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