私が道を歩いていると、前方20mほどのところに猫を発見したのであった。
猫は基本的に警戒心が強く、9割以上は私が近づいていくと逃げてしまう。それは野良猫でも飼い猫でも同じである。ほとんどの猫は逃げる。近づいても逃げない猫は極わずか。寄ってくる猫は、人に慣れているというより、よほど腹を空かせているのだろう。
今日の猫は、私が近づいても逃げなかった。周りを見渡すと、流れているどぶ川の向こう岸にも2匹の猫がいる。1匹は丸くなって眠っていた。死んでいるのかもと思ったが、腹が呼吸とともにゆっくりと収縮し動いていた。
さらに近づくと、猫は一瞬警戒するように身構えたが、そのうち近づいてきて、私の周囲を回り始めた。私が手を差し出すと、その匂いを嗅いだ。私は2、3度、その猫を撫でた。
その風体から、飼い猫ではないと思った。目の前に民家がある。飼っているというより、餌付けしているうちに居ついた猫たちであろうか。
猫はしばらく、私の周りを回ったり、股の下をくぐったりとコミュニケーションを図っていた。
そして猫は、おもむろに道端に落ちているウンコを食べ始めた。見た目、まだ柔らかいレアなウンコなので、おそらく自分のウンコだろう。
私は、まるでこの猫に会ったこと自体が無かったことのように、速やかにその場を離れた。
帰宅後、私は石鹸で手を洗った。
そして私は、6月の湿った空気が、首の辺りに纏わりついているのを感じた。
おしまい。
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(2008/07/25) 不明 |