ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

飢餓海峡

TOTO / アイソレーション (1984)

TOTO / Isolation

 

このアルバムからシングルカットされた『ストレンジャー・イン・タウン(Stranger In Town)』のことは以前書いた。

TOTOでどれか一枚選べと言われれば多くの人が『聖なる剣(TOTO IV)』、次いで1st『宇宙の騎士(TOTO)』、2nd『ハイドラ(Hydra)』。『ターン・バック(Turn Back)』は若干地味な存在…といった具合になるのだろうか。

グラミーを独占した『聖なる剣』の次に位置する『アイソレーション(Isolation)』は、フル参加はこの一枚のみというファーギー・フレデリクセンがヴォーカリストということと、ハード・ロック寄りの方向性から、TOTOの中では異色作とされているようだ。実際、大ヒットした前作からセールスも落としている。

しかし、動物の赤ん坊が始めて見た動物なり人を親と思い込んでしまうように、私にとってのTOTOはこの『アイソレーション』であり、『ストレンジャー・イン・タウン』だったりする。

このアルバムがリリースされた1984年といえば私は中学生。当時の私にはこのTOTOにおけるハード・ロック・アルバムと言われる作品の疾走感がジャストフィットした。

ハード・ロックといっても、同時代のメタル勢と比べると「だし汁を一度煮立て、鶏肉のアクをすくい、弱火にして他の具材を入れる」ような、もしくは「氷を入れまわりが結露した器から竹の筒に流しソーメンを落とす」ようなさわやかさがある。

ハイ・トーンで一本調子との評価もあるフレデリクセンのヴォーカルだが、最初に聴いたのがそれなので特に違和感も覚えなく四半世紀過ごしてきた。

良心的なファンからは一定の評価を受けているが、チャートが示すとおり当時の状況はやはり厳しかったようである。

ただやはり、私は『アイソレーション』を聴くと当時の風景が蘇り、このアルバム抜きに'80年代のTOTOは語れないのである。

「語れない」といっても、'80年代といえばメタルだし、その後は聴く音楽が'70年代ロックとかに行くからTOTOはそれ以上深くは追求しなかったんだけどね。

で、『アイソレーション』の評価が自分的には低くないということがどういうことかというと、「圧倒適に『ファーストガンダム』が好きだが、世代によって“『Z』こそ最高”であったり、もっと若ければ“平成以降のガンダム”にこそ萌えるという人と価値観の交換こそできないが、それぞれの育った時代、環境など踏まえてニュートラルな視点で見ればまあそっちの想いも分かると、歩み寄る気持ち、相互理解を深める姿勢を持つことが大切」ということだろうか。

IsolationIsolation

(2008/03/01)

Toto

商品詳細を見る