ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ブッチャー・ストライクス・バック

ノルウェイの森』@イオンシネマ 越谷レイクタウン

原作小説を最初に読んだのは1991年か92年。文庫化されてからなのでハードカバーで大ヒットしたときの熱気とはすこしずれた時期に読んだ。

で、遅ればせながら文庫化されて読んだところ、さすがに大きな磁場を発生させた作品だけあって、その世界観にズプズブとはまって抜けられないような感覚を覚えた。

ただ、自分のバイオリズムとの兼ね合いか、数年後に読み返したときには「ありゃ、これは全然ダメだまったく入り込めない」となったりすることもある。まあ自分にとってはそんな感じの作品であった。

そして、ここ数年はとくに読み返すこともなく過ごしていた。

で、今回映画化されたのを観る。まず物語の導入部から「あ、そこから始まんの?」と意外だったワケだが、あと印象に残っている意外な点といえば、キズキと直子、2人どちらも死が直接的にビジュアルに起こして描写されていたということか。 そこら辺は自分の頭にあるイメージとかなり違って見えた。

小説でもキズキの死は主人公のワタナベによって詳細まで語られているが、本人はその場にいたわけではないし、ナレーター的目線で語られているので読者の中へ入ってくるのにワンクッションある気がする。直子の死は、原作だと直前まで直子と一緒にいたレイコさんからワタナベに語られる形で描写されている。それが映画では「バーーン!!」と来るので、突きつけられ方がかなり違う。

そして、観ていて感じたことは、村上春樹作品のセリフは映像化すると、なんだか映画ではなく“画の付いたラジオドラマ”みたいな感じになるなあ…ということであった。

音楽について。

いつものごとく、事前に情報を何も仕入れて行かなかったのでエンドロールのクレジットを読むまで気付かなかったが、サウンドトラックはレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが担当していた。彼の押しで、劇中にCANの曲が挿入される。それと、こちらは心理、情景描写というより時代背景とのリンクの要素が強いと思うが、ドアーズの曲も使用されていた。

最後に配役。

何百万人に読まれた名作なので、各登場人物への思い入れもその数だけあり、配役に関してはそれぞれの想いがあるだろう。主演は松井ケンイチ。そう、松井ケンイチくん演じる主人公ワタナベのフルネームは“ワタナベトオル”。と、いえば郁恵の旦那、ラガー…

そして僕は、何物でも埋められない、底知れぬ喪失感の中…

冬至なので ゆず湯に入った。

ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラックノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック

(2010/11/10)

サントラ、カン 他

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