ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

道頓堀人情

ハノイ・ロックス / セルフ・ディストラクション・ブルース (1983)

Hanoi Rocks / Self Destruction Blues

初期のレア・トラック集で、2ndアルバム『オリエンタル・ビート(Oriental Beat)』と3rdアルバム『ミステリー・シティ(Back to Mystery City)』の間にリリースされており、輸入盤が入ってきた当時はインフォメーションの少なさや、ジャケットに写っているのが実際にドラムを叩いているジップ・カジノではなく、次のアルバムから参加するラズルだったりするので「これは3rdアルバムなのか何なのか?」と、混乱していたようだ。

未発表曲やシングルB面などで構成されているため、オリジナル・アルバムと比較することはできないが、代表曲のひとつとなる『タクシー・ドライヴァー(Taxi Driver)』が収録されていたり、単なる寄せ集め以上の聴き所がある。

ハノイの音楽には、パンキッシュで前のめりなビートに乗ってマイケル・モンローが力んで歌っても、シャウトしても漂ってくる哀愁のようなものがある。

アメリカのバンドが持つ大らかさ、陽気さとは違う、またイギリスのバンドが放つ哀愁とも違う、独特の泣きがある。

それは彼らが北欧フィンランドの出身だからなのか、マイケル・モンローの声質からか、はたまたアンディ・マッコイが作った曲をマイケル・モンローが歌うことによって発生するマジックなのか・・・

何故、泣きの効いている曲が多いのだろう?

え?「例にしてるのがマイナー・キーの曲だからじゃね?」って?

あ、そ。

とにかくだ、このアルバムの中にも『愛はインジェクション(Love An Injection)』や『デッド・バイ・クリスマス (Dead By X’mas)』など、泣きのメロディ炸裂のナンバーが収録されている。

アメリカ進出も視野に入れる後期の方がクォリティ的にはさらに充実してくるが、初期の曲が放つ未完成ながらの輝きも捨てがたい。

セルフ・ディストラクション・ブルース(K2HD/紙ジャケット仕様)セルフ・ディストラクション・ブルース(K2HD/紙ジャケット仕様)

(2008/06/25)

ハノイ・ロックス

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