宮田珠己 / わたしの旅に何をする。
独特の文体による紀行文で人気の著者がだが、こちらは有給休暇をとりまくって旅行に出ていた時期から、サラリーマンを辞めて旅をしまくるようになる転換期が書かれている作品。
その面白さに、ハマる人はハマり、ダメな人はまったくダメと評価が分かれる文章で、会社を辞める決断をするくだりで、“ゾウさん”とか“チョンマゲ”が出てくるなど、旅と全然関係ないことで笑いをとるのはずるいと思いながらも、ここは思わず噴き出してしまった。
何のことか分からない人はまあ実際に読んでみてくれ。“ゾウさん”と“チョンマゲ”だからさ。
旅先での出来事もいろいろ面白おかしく書いてあるが、観察眼とアウトプットの回路が充実しているからこうなるのだろう。
そういった人の文章を読むにつけ、いつもうらやましく思う。
旅の面白さも、感じ方が鈍ければ見過ごしてしまいがちになってしまうのだ。
私も“ゾウさん”と“チョンマゲ”あたりがサラっと出てくるボキャブラリーを持ち合わせた大人になりたい。
うわっ!年齢的には既に大人だったよ・・・
この文庫本を購入した時期、今から2~3年前ぐらいはやたらと旅の本ばかり読んでいた。
もしネットの閲覧履歴も遡って見れるなら、そういった旅関係のサイトへのアクセスが山ほど出てくるだろう。
それだけ、精神的にちょっとアレだったようだ。
宮田珠己氏は“WEB本の雑誌”にて“スットコランド日記”を連載していて、私も毎回更新を楽しみにしていたり、そうでもなかったりしながら読んでいたが、今年の4月に終了してしまった。残念。
わたしの旅に何をする。 (幻冬舎文庫) (2007/06) 宮田 珠己 商品詳細を見る |