ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

男涙の三度笠

“トーキョーオンガクサイト”で、ワーナーの40周年企画『5cd original album series』が紹介されているのを読んで、触手がピピっと動いたので1セット購入してみた。

40アーティストのオリジナル・アルバムが5枚セットになって2.500円。

輸入盤で簡易的な紙のジャケットに入ったCDが5枚まとまっているだけのものだが、オリジナル・アルバムが1枚500円の計算で5枚も一気に揃うのはちょっとウレシイ。

タワーレコードでの現時点の価格が2.500円(期間限定)。Amazonだとアイテムごとにバラついている。

アーティストのラインナップも魅力的だし、オリジナル・アルバムがそのまま入っているところに好感が持てる。

20年前はホームセンターで売っているような廉価版CDの世話になり、音楽的守備範囲を広げていった時期もあったが、もう今は正式な権利元が出す企画で、価格が安くても、愛情の感じられない単にお手軽なコンピや、とりあえず定番曲を並べてジャケもカッコ悪いベスト盤だったら興味を持たなかっただろう。

せっかくの機会だから3セットか4セットぐらい気前よく買いたいところだが、いかんせんノー・マネーなので1セット、胃に穴が開くまで迷って胃液や内容物を嘔吐しながら選んでみた。

気になるアーティストのセット内容を見てみると、5枚のうち1~2枚既に持っていたりとゆうのがけっこうあって選ぶのが難しい。

といって、これまで手をつけていなかったアーティストを開拓する心境でも、ちょっとなかったりする(ホントはそうするのが一番いいのだけれど)。

精神的にパワーがある時期ならそうしたんだけどね。今はちょっと違った。

そんなこんなで、あったよ、ありました・・・

5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET J. GEILS BAND (J・ガイルズ・バンド)

『デビュー! (The J. Geils Band)』

『モーニング・アフター(The Morning After)』

『フル・ハウス("Live" Full House)』

『ブラッドショット(Bloodshot)』

『招かれた貴婦人(Ladies Invited)』

・・・といった、1stから5枚目までの作品がまとまっている。

J・ガイルズ・バンドを聴き始めてから20年弱経つが、ディスクとして持っているのが、ライヴ盤の『狼から一撃/Blow Your Face Out』と『フリーズ・フレイム(Freeze Frame)』、それとアトランティック時代のベスト盤『ベスト・オブ・ザ・J・ガイルズ・バンド/Best Of The J. Geils Band』だったので今回のセットとは被っていない。こりゃよかった。

1981年発表の『フリーズ・フレイム』は大ヒット曲『堕ちた天使(Centerfold)』が収録されているし、この曲は何かと“洋楽ヒット”としていろいろ取り上げられていてJ・ガイルズ・バンドの代表作とされることもあるが、80年代っぽいテクノロジーを駆使した音作りはバンド本来の魅力ではなく、ロック・ファンはアトランティック時代のアルバムを好むようだ。私も『フリーズ・フレイム』をずっと前に入手してはみたが、ずっとライヴ盤とベストばかり聴いていた。

今回、デビューから5枚のアルバムをあらためて聴いてみると、やはりこの頃のJ・ガイルズ・バンドはカッコイイ。

不適な面構えの漢たちといったルックスで、媚びた感じが一切ないし、繰り出されるブルージーなロックンロールは渋く、それでいてとことん弾けている。

曲数としては多くないが、ときおり出てくるバラードは不器用な男の哀愁といった感じで効いている。

今回あらためて5枚のオリジナル・アルバム(『フル・ハウス』はライヴ・アルバム)をちゃんと聴き返したことで魅力を再認識できた。

音楽を取り巻く環境が加速度的に変化している昨今、“ディスクで購入し、所有する”ことの意義自体危うくなっているが、まだなんとかこの直径12cmで銀色に光った円盤を手にする習慣が残る、今この瞬間に限って言えば、コンピレーションやベスト盤1枚とほぼ同じ価格でオリジナル・アルバムが一気に5枚もそろえられるこのシリーズはけっこうな好企画だと感じる。

銭があればもう何セットか欲しいところだ。

5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET

(2010/02/27)

J. GEILS BAND(J・ガイルズ・バンド)

商品詳細を見る