ペイヴメント / クルーキッド・レイン (1994)
Pavement / Crooked Rain, Crooked Rain
「ロックは死んだ」と宣言したジョン・ライドンはセックス・ピストルズが放つパンク・ロックで恐竜化、保守化していたロックに挑戦状を叩きつけたが、ピストルズのサウンドは、ロックの原点、初期衝動に立ち返り、太ってしまったロックの贅肉をそぎ落としてエッジを立てた”という感触だった。
そこから時は流れて’90年代、スティーヴン・マルクマスは「ロックンロールの時代にお休み」を言うために、ピストルズとは逆にオナラのような音(褒め言葉です!)のロックを我々に突きつけた。
熱さを共有することを許さない、背骨を抜かれたような音は聴くものを困惑させ、「とりあえず、スマッシング・パンプキンズとストーン・テンプル・パイロッツの悪口には乗っておいた方がいいのかな・・・(歌詞を参照のこと)」と、ロック・ファンの心を迷わせた・・・かどうかは知らない。
だが、ロック的な姿勢、サウンドを否定するようなこのアルバムも、実際のオナラ音やお茶をすする音、水洗トイレの流水音などで構成されているわけではなく、ギター、ベース、ドラム・・・と、紛れもなくオーソドックスなロックのフォーマットに従って作られているのが興味深い。(実際、ピンク・フロイドが『狂気』の後に楽器を使わない作品を作ろうとして失敗したらしい)
脱ロック的な姿勢を掲げつつ、ロックのフォーマットの中でそれを実現しようとする・・・
ロックをまったく信じていないし、コケにしているようでいて、実はロックに対して真っ向から取り組み、格闘しているのがこのアルバムの魅力かもしれない。
クルーキッド・レイン・クルーキッド・レイン
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クルーキッド・レイン~デラックス・エディション
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