Mt.Delicious / 乱反射 (2010)
新譜が届いた。
スペーシーな曲、ファンキーな曲、トランスするような曲からアコースティックまで、イマジネイティヴな世界を展開している。
表題曲の『乱反射』は、宇宙空間で作られたジャズかブルースのよう。
インストゥルメンタルのようでいて、女性の声が大々的にフューチャーされているMtデリシャスの音楽。
歌詞らしきものをほとんど歌わないシンガー、ラヴリー・レイナと組んでの活動はシャケの頭の中にはピンク・フロイドの『虚空のスキャット』のような女性コーラスをもっとワイルドにして、'70年代のサンタナあたりのエッセンスなどと掛け合わせるようなアイデアがあったのではないかと想像してみた。たしか2000年代に入ってから、レッド・ウォーリアーズのライヴでは何度かサンタナの曲、『キャラバンサライ(Caravanserai)』に収録されている『フューチュア・プリミティヴ(Future Primitive)』がSEとして使われていたし。
このアルバムの中だと、『闇の話』あたりはサンタナに近いものを感じた。
レッド・ウォーリアーズの『Swingin' Daze』以降、カジノ・ドライヴ、サイコデリシャス、深空と、どんどんイマジネーションが重要な音楽の表現になってきたシャケの活動だが、Mtデリシャスはさらに、人の肉声は入っていても具体的な言葉で訴えかけることは少なくなっているので、前述した初期のサンタナや、マイルス・デイビスの『ビッチズ・ブリュー』、ピンク・フロイドのインスト曲のように、音と魔女レイナのスキャットだけでリスナーが頭の中にどれだけ画を描けるか、バンドはリスナーのイマジネーションをどれだけ喚起できるキャンバスを提供できるかがカギなのだろう。
乱反射 (ランハンシャ)
(2010/03/20) Mtデリシャス(マウントデリシャス) |