ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

人生変えちゃう夏かもね

ジム・モリソン&ザ・ドアーズ / アメリカン・プレイヤー (1978) 

Jim Morrison:Music By The Doors / An American Prayer

ミュージシャンが死んだ後に発表される音源は、多くの音を欲しているファンとしては嬉しい気持ちがある反面、存命時に未完成だったものやお蔵入りになっていたモノが、完成品の姿、もしくは世に出すか否かの判断など最終的な本人の考えが不在のまま発表されるのでなんとも微妙な存在だ。

ジミヘンの『ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン』、本来の姿をジミはどう描いていたのか。

ジョン・レノンも参加して『フリー・アズ・ア・バード』が完成していたらどうなっていたのか・・・等など。

まあジミヘンやビートルズは天才だけに、発掘音源といってもクオリティの高いモノが出てくるが、死んだ本人が作品に最後の魔法をかけることができないのがもどかしい。

それに対し、ジム・モリソンが残したポエトリー・リーディングに、死後8年経った1978年、残ったレイ、ロビー、ジョンの3人が演奏を加えた『アメリカン・プレイヤー(An American Prayer)』は逆転の発想とゆうか、別の意味でマジックがかかっている。

特に導入部『目覚めよ(Awake)』に続く『亡霊の歌(Ghost Song)』はドアーズ流ファンクともとれるバック・トラックに乗って、韻こそ踏んではいないがまるでラップのようにリズムとリンクしながらジムの朗読が進んでいく。

このアルバムを聴いていると、まるでシュールな映画のストーリーを、音声だけで追っているようだ。

歌ではなく、詩の朗読がレコード化に耐えうる形で録音されていたのは詩人であるジムならでは。

彼らが残したオリジナル・アルバムとは比べるべくもないが、1年に何度か無性に聴きたくなる作品だ。