ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

君は完璧さ



先日、雑誌「FM STATION」の思い出について書いたが、なんともタイミング良く、書店で「FM雑誌と僕らの80年代--『FMステーション』青春記 」とゆう本を発見した。
「FM STASION」の編集長だった恩蔵茂氏、ズバリその中核にいた方が書いた本である。
FM放送黎明期のことから「FM STATION」創刊の経緯、黄金期から「FM STATION」を含むFM誌の終焉までが、音楽シーンやオーディオ機器の話を交えながら語られている。
カセットテープ、ラジカセ、ウォークマンなどの普及で変化した80年代の音楽を楽しむスタイルがFM誌の活況を呼び、「FM STATION」の販売部数は50万部を突破。しかしその後はCDの普及、FM放送の多局化、新しい番組構成スタイルであるJ-WAVEの台頭、バブル崩壊・・・等など様々な要因が重なってFM誌は衰退、もしくはその存在意義自体がなくなってゆく。
FMの放送局が多くなることに対するFM雑誌の困惑など、製作者ならではの興味深い話で、当時10代だった読者の自分には想像もつかなかったことが色々書いてあった。
局数が増えるのは番組表を掲載しているFM雑誌にとって、単純に景気の良い話なんかではなくて、まったく逆の事態が起こっていたのである。
「FM STATION」の全盛期から斜陽、休刊までをなんとなく、その時々の流行り廃りとして平面的にとらえていたので沢山の発見があった。

リアルタイムで存在に触れていたモノが、短くない時を経て脳内で醗酵したタイミングで当事者により詳しく書かれた回顧録を読み、当時気軽に手に取って日々接し、切り抜いて穴だらけになっては捨てていた雑誌が自分の中で明確に“文化”に変身した気がする。

それともうひとつ。「FM STATION」は、カセットインデックスが付いていたり、誌面にあるアー写がカセットサイズだったことは先日も書いたが、記事欄外に印刷されているアーティスト名も切り抜いてインデックスになるし、FM番組表も切り抜けばエアチェックした曲目表になったのだ。この本に書いてるのを読んで思い出した。

究極に、ツールとして使える雑誌だったのである。
なので、完全な形で生き残って古書店で手に入るのはほとんどないそうだ。