ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

はんぶん不思議

20年の眠りから覚めたDEAD ENDの新作!!
・・・は、まだ買えてないので、先に買った「DEAD LINE」再発を聴いてみたヨ!ヨ~ん!



強烈なインパクトでバンドの存在をシーンに印象付けた本作であるが、当時から追っている方はご存知の通り、変則的な条件で製作されたアルバムである。

裏ジャケットに写っているメンバーは、MORRIE、COOL JOE、YOU、TANOの4人だが、アルバム製作途中で創立メンバーでギターのKAGAWAが脱退、後任のYOUがギター・ソロを差し替えて完成するという事態になった。(一部、YOUがバッキングも担当、その逆にKAGAWAのソロが残った曲もあり)

なので、この個性的な楽曲群のメイン・ソングライターはKAGAWAであり(1曲はCOOL JOE)、そこに様式美を纏ったYOUの華麗なギター・ソロが乗って出来た、言わば5人(4.5人?)で造った世界なのである。

MORRIEのホラーチックな歌詞、グラム・ロックからプログレまで吸収したCOOL JOEのベース、シモンズまで取り入れたTANOのドラム、そして競演していない2人のギタリストのバラバラな個性が、それまでのジャパメタのは無かった独特の雰囲気を作っている。

DEAD END特有の、要所に出現する「フツウこうはこないよな」とゆうアレンジは、クリムゾン、イエスやラッシュ等、プログレが好きなCOOL JOE主導のものだろうか?

今回のリマスターを聴いてみて、まずオープニングに出てくるゾンビ(?)の呻き声から、今まで聞こえなかった音がちゃんと立ち上がっているのに気付いた。
バンド・サウンドに関しては、まあどのアーティストのリマスター再発でも“音の分離”については言われていることだが、今回聞き比べてみると、少し窮屈だった楽器同士の関係、距離感が開放されて、いくらか空間的に広がりが増したかなと感じた。

ただ、リマスターで直しようがないのがギターの音。ソロではあまり感じないが、バッキングの音が、まるで自宅の練習用アンプ、しかもそのヘッドフォン端子から出力したような音なのである。
20年以上、KAGAWAのギターが、とずっと思っていたが、今回クレジットで確認すると、YOUがバッキングを弾いている曲もそのような感じだ。
当時のインディーズ・アイテムの音の悪さは、たいがいバンドの世界観が音を補填してくれたり、そのチープさが逆に味だったりするのだが、ギターの音質がこの名作のおしいところ。

このアルバムがブレイクしてから雑誌メディアに出るようになったDEAD ENDなので、ビジュアル・イメージはメンバー・チェンジ後の4人、もしくはメジャー・デビュー時の、ドラムにMINATOを迎えた4人なので、どうもほとんどなかったことになってしまっているKAGAWAだが、'90年代から10年以上、WILLARDでギターを弾いていた。
WILLARDでも、音源製作時にはコンポーザーであるJUNがほとんどのギターを自分で弾くので、クレジット上はサポートとゆう待遇だったが、ステージで飄々とギターを弾く姿は愛すべきものであった。月島で開催された、WILLARDの歴史を振り返るギャラリーでのトーク・ショーで、「OFFは皆さん何を・・・?」との問いに「散歩・・・」と答えていたのが忘れられない。
バンドの25周年を見届けた後、家庭の事情でWILLARDを去ってしまったが、ファンには惜しまれて見送られたようだ。(ラスト・ライヴは関西だったので私は行けなかった)

今回の再発、初回限定版にはDVDが付いていて“大阪毎日ホール”で行われた「四鬼夜行」のライヴが、オマケの域を超えた60分のボリュームで収録されている。
記録用に1カメで撮影されたものらしく、画像も悪いが、当時の雰囲気、バンドの勢いは十分に堪能できる。
後にメジャー1st「GHOST OF ROMANCE」に収録される曲が演奏されているところも注目。

「DEAD LINE」は、強烈な個性のぶつかり合いと、メンバー・チェンジの紆余曲折なども含めて、様々な要素が重なって生まれた名盤だと思う。