『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
アンヴィルというバンドを知ったのは多分、『SUPER ROCK '84』が開催された前後あたりだったと思う。
当時はまだ中学生、五分狩り坊主頭という姿で『ミュージックライフ』を読んでいた私はこの世紀のイベントには行けなかった。
たしか、小林克也氏のナレーションでラジオ・スポットを打っていたと思う。
出演したのはホワイトスネイク、スコーピオンズ、マイケル・シェンカー・グループといった錚々たる面々。(ただ、マイケル・シェンカー・グループはレイ・ケネディがヴォーカルという残念なラインナップだったけど)
そしてこのときまだ、ニュー・フェイスだったボン・ジョヴィは後に、このとき競演したどのバンドよりもメガ・セールスを記録するスーパー・スターになったのであった。
で、このイベントのラインナップにアンヴィルがいたのだが・・・
彼らが大メジャーなアーティストになることはなかった。
以来私は、それ以上アンヴィルと付かず離れず暮らしてきたわけだが、まさか四半世紀の後、アンヴィルのドキュメンタリー映画を映画館の大スクリーンで観ることになるとは!
前述した『SUPER ROCK '84』の模様がオープニング・シーンで回想され、ガンズのスラッシュ、スレイヤーのトム・アラヤ、アンスラックスのスコット・イアン、モーターヘッドのレミー、メタリカのラーズがアンヴィルに賛辞のコメントを寄せる。
当のアンヴィル。オリジナル・メンバー、リップスとロブは、普段は音楽以外の仕事に従事し、クラブでライヴを続ける日々・・・
そんなアンヴィルに、ツアーのオファーが舞い込むところから話は動いていく訳だが、もう笑えたり泣けたり大変なんですよ奥さん!
ツアー先でのギャラトラブル、参加したフェスの惨憺たる動員、列車乗り遅れ・・・散々なトホホ感がありつつも家族愛、バンドの友情が感動的に描かれている。
熱くバンド人生観を語るリップス、横でフォローするロブ。
レコーディング中にリップスとロブが大喧嘩。泣きながら思いをぶつけるリップス。
そんな年齢50過ぎのオジサンが二人。
なんだよもう最高。
'80年代のメタルを知っていれば楽しめるネタ満載。
知らなくても何かしらロック、ポップスを聴いている人、バンドをやっている、やっていた人には観てほしい映画である。
満員の幕張メッセ、『LOUD PARK』でも、観客が数えるほどしかいないツアー先のクラブでも、アンヴィルは凄くイイ顔で演奏していた。
生きる気力を分けてもらえるドキュメンタリー映画であった。
映画 『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』 予告編