ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

マギーズ・ファーム野茂

『3055』が閉鎖しちゃったので、書いた記事をサルベージするよ。

 

入稿 2012/09/06

 

Rush / Moving Pictures (1981)

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1. Tom Sawyer
2. Red Barchetta
3. YYZ
4. Limelight
5. The Camera Eye
6. Witch Hunt
7. Vital Signs

 

カナダのスーパー・トリオ・バンド、ラッシュの9枚目にあたるオリジナル・アルバム『Moving Pictures』は、それまでの大作主義から、コンパクトな曲で攻めるようシフトした前作『Permanent Waves』の方向性をさらに進化させ、高い完成度を実現。バンド最大のヒット作となった。

プログレッシヴ・ロックのひとつに数えられ、文学性の高い歌詞と、高度な演奏技術で繰り広げられる楽曲。それらが一体となってラッシュ・ワールドが形作られる。巧みに組み込まれた変拍子などを必死に追っていくと、眩暈がしそうな難解さだ。しかしラッシュの凄いところは、それが一部のマニアだけに向けられているのではなく、多くのロック・リスナーに門戸を開くポップ・センスで一気に聴かせてしまうところだろう。

「技巧派のロックが好き」という人が聴くだけでアルバムは何百万枚も売れない。そしてラッシュは今でも、スタジアム級の会場を満杯にするようなバンドだ。来日が80年代に一度きりのため、なかなか実感できないが、ブレイク以来何十年と、大観衆を熱狂とシング・アロングの渦に巻き込む、メガ・バンドなのである。テクニックで測れる以外の魅力が彼らにはあるのだろう。(Jeff Goldsmith)

 

 

MOVING PICTURES

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