ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ココナッツの片想い

The Willard / Funny Fears (reissue 2012)

7月のライヴ会場にてシングル『Pandora's』をリリースしたウイラード『TALLYHO』に続いての、自身のレーベルから過去作品リマスター再発、『FUNNY FEARS』のCDが届いた。

 

オリジナル・リリースは1993年。前作の『REPTILE HOUSE』までは聴いていたんだけど、それ以降のメジャー在籍期間は彼らの活動を追うことをしなくなっていたので、このアルバムを聴いたのはだいぶ後のこと。数年前、コロムビアのCD受注生産サービスに、本作がラインナップされているのを見つけて注文した。

『REPTILE HOUSE』からのJUN、KYOYA、穴井という体制で作られたアルバムは、この頃特有の色、穴井さんのブイブイなベースが唸っている。前作はどちらかというとガレージ的なサウンドと、ワルっぽい雰囲気が出ていた気がするのに対し、本作は『Snowy White』や『Lorelei』など、幻想的で背筋がピンと伸びるような曲がある。そして製作した季節がらか、冬の歌がちらほら。

 

そして今回のリマスターでは、重ねてあるギターの音などが、よく聴こえるようになった…と…思う…んだけど、オンデマンドCDと通常上のプレスで作られたCDとで、音質の違いがあるのかどうかが不明なので、実際のところはどうなのだろう?

そして今回も、リイシューにあたり音そのものの新装に加え、JUNによるライナーノーツが書き下ろされている。単なる曲解説、当時の製作状況回顧ではなく、アルバムの世界観を語り、軸となるストーリーの概要を紹介している。ここらへんは、ストーリー・テラー、JUNの真骨頂というか、リマスターで各楽器のサウンドが立つのと同じく、曲中に出てくる登場人物のイメージがよりはっきりと浮かび上がり、舞台となる街の風景も、リスナーの前にくっきりと現れるのである。本作が出た1993年当時は、媒体の露出も少なくなってきて、『Funny Fears』に関してはリリース時のインタビューなども見かけた記憶がない(”Dol”lあたりには載っていたのだろうか?)ので、アルバムを立体的に楽しむいい機会となった。

今年中に、新しいアルバムがリリースされるであろうウイラード、それまではこのPain Streetを徘徊しながら、新たな物語が届くのを待つとしよう。