ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

ドッグス・オン・リーズ

世界糖尿病デー記念『そのとき!!…何が起こったか』

に続いて…ふぅ~、やっと最終回までたどり着いたよ。

退院後の話だ。

退院後、体力が戻っていないこともあり2日間ほどは布団の中で過ごす時間が多かったが、もう病人であって病人でない状態。病気はもう一生身体の中にあり、それをコントロールするのが患者の仕事となる。以後は日常に戻り、病気との付き合い方を模索する日々が始まるのだ。とりあえず近所から、外出をすこしずつ増やしていった。

退院間もない頃、夜中に低血糖を頻繁に起こしてしまい、怖くなって予約の日より前に病院に電話し、診察してもらったこともあった。しかしそれは身体の異常ではなく、インスリンが効き過ぎていただけで、夕食前に打っていた2種類の注射のうちひとつをやめることで解決した。

夜の低血糖は解決したが、昼間は何度か出先で低血糖になって焦った。それも食事のコツを掴むうちに減っていった。「この食べ方、メニューは何度か低血糖になったからやめておこう」と避けるようになるのだ。ただ、これに関しては未だに万事オーケーというワケではない。気をつけていても様々な要素が重なって低血糖を起こしてしまうことがある。そんなときは携帯しているブドウ糖を摂取する。

そして食事。「糖尿病食は薄味で量も少なく、不味い」というイメージがあったが、自分で経験してみると、実際はそんなことはなかった。というか食っているもの自体はそんなに変ったものではない。各患者の状況、食事の指示量によって変るもので、1日1200kcalといったら辛そうだが、俺は月に1回の診察の度に摂取カロリーが1600kal→1800kcal→2000kcalと増えていった。2000kcalといえば1食666kcalだ。カロリーなんぞ気にせず何でも食っていたときからすると少ないが、メニューのひとつひとつは過剰なカロリーを持っていないので、いろいろ合わせて、そこそこ満腹まで食えるのだ。

そして俺の場合血糖を上げないようにしつつ、もっと太らないといけない。体重が病気前の50kgから45kgに減ってしまってなかなか増えなかったので、このままだと体力もなくなるし、免疫力が落ちて他の病気になってしまうから食事量を増やし同時に注射する量も増やしたしだい。

病気になって良かったなんてことはまーーったくといっていいほどないのだが、唯一あるとすれば、自炊といえばカップラーメンに生卵を落としたり、レトルトカレーを熱湯で暖めるぐらいが関の山だったこの俺が、そこそこの料理を作れるようになったということだろう。料理本を見ながら、簡単なものから作り始め、レパートリーも広がってきた。「あ、マーボー豆腐って、自分で作れるんだ」みたいな。

でも、やむにやまれぬ事情で始めたからか、「男の料理!料理男子!イケてる!」みたいな感覚にはないんだよなあ。

そう、俺の料理は動機がやむにやまれぬというか、負の要素から出発している。だから、このブログのコピー、「ファッションとグルメ以外のこと」というキャッチコピーは今後もとりあえず変えるつもりはない!ドンっ!!(と、机を叩く)

さて、このシリーズを書き始めたときには、まさかこんな長編になるとは思っていなかったが、やっと終りが見えてきた。

入院しているときに書いたのは手帳のチョロチョロっとしたメモ書きだけだったので、完全に忘れてしまわないうちに、記憶があるうちに、まあ自分のためになんだけど書いておこうと思ったら長くなってしまった。

これだけ長く書いたら、締めには何かこれから病気と向き合って生きていくにあたって力強く感動的な決意表明とか、同じ境遇で頑張っている人たちへのエールとかあると思うでしょ?でも、これだけ書いておいて、突然ブチっと尻切れだったらおかしいよね。

ブチっ!!

―…っと、ありえない終わり方で、終わり―

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