ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

何かありそな西銀座

ダイアモンド☆ユカイに第一子誕生とのことなので今日はこれにしましょうか。

ダイアモンド☆ユカイ / SHADOW BROWN & BLACK PIRATES (1992)

それまでのイメージを覆す問題作『ピエロの囁き』に続くソロ3作目(YUTAKA & LITTLE WING名義は除く)は、架空の海賊を創り上げ、その冒険を描いたコンセプト・アルバムでございます。

ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』やデヴィッド・ボウイの『アラジン・セイン』に通ずる世界観を独自のセンスで上手く作り上げています。

事務所も移籍し、かなり自由に自分のアイディアを具現化できたようで、オーバー・プロデュースだった前作よりメロディが生き生きとして風通しが良く、サウンドもロック・バンド然として曲とのマッチングが良いですね。

物語のプロローグ的な『誕生』に続く『シャドウ・ブラウン&ブラック・パイレーツの冒険』は、「わりとストレートな横ノリR&Rに聞こえてどこかヒネリが効いている」感じの、ボウイの『あの男を注意しろ』を彷彿とさせるナンバー。

その後は娼婦が暗躍する街角が登場したり、幻想の中に様々な人々を風刺したようなサーカスが開催されていたり、モルヒネの幻覚で時空をトリップしたりとストーリーは進んでいきます。

王様の栄光と没落を描いた『独裁者』をハイライトに、何故かネオン煌く街に繰り出して騒ぐ『TAXI DRIVER』と続き、海賊船上での宴でシャドウ・ブラウンの物語はエンディングを迎えます。

“架空のバンド”、”海賊”とゆうキーワードからアイディアが爆発的に溢れ出たのか、「セルフプロデュースよくぞここまで」・・・という完成度。

そしてこのアルバムのツアーメンバー、ギターがUP-BEATの岩永凡、ベースはストリート・スライダーズのジェームス、ドラムがJOE、キーボードに三国さんといった布陣はルックス的なバランスもとれていて、まるでパーマネントなバンドのよう。

たしかツアー・ファイナルだったと思いますが、私が観た渋谷公会堂のライヴはセット、演出共にかなり凝った、アリス・クーパー顔負けのアシアトリカルなショーでその充実振りは感動的でした。(アリス・クーパーは生で観たことないけど)

そして『シャドウ・ブラウン~』は、レッド・ウォーリアーズ解散前のアルバム『Swingin' Daze』のサイケデリック感と相通ずるモノがあり、渋公でソロの曲に混じってレッズナンバー『欲望のドア』や『'90s Revorution』が違和感無く歌われていたのが印象に残っています。

さらには、アメリカに渡ったレッズのリーダー、シャケもほぼ同時期に多国籍バンド、カジノ・ドライヴで、グラムとプログレとサイケを合わせて 『ロッキー・ホラー・ショー』でかき混ぜたような1stアルバム『フィーヴァー・ヴィジョンズ 』をリリースしたので、「袂を分かった二人が、それぞれの視点で、『Swingin' Daze』の続きを作っているのだなぁ・・・」と感慨に浸っていたものです。

・・・そんな、1992年の出来事でございます。