ジェフ・ゴールドスミス日記

ファッションとグルメ以外のこと。

恋はマケテラレネーション

アリス・イン・チェインズ / アナザー・サイド・オブ・アリス (1994) 

Alice in Chains / Jar of Flies

グランジ・シーンを代表する名作『ダート(Dirt)』の次にリリースされた、7曲入りのアコースティック・ミニ・アルバム。94年発表。

これ以前にも『サップ(Sap)』というアコースティック作品を出している彼らだが、本作は当時の勢いそのままに、ミニ・アルバムにもかかわらず全米1位を獲得している。

重いギター・リフとキャッチーなメロディー、ハーモニーが魅力のAICであるが、ここではエレキ・ギターのリフをアコースティック・ギターの響きに置き換えて、別の魅力を見せてくれる。

冒頭の『ロッテン・アップル(Rotten Apple)』からいきなり、思わず死にたくなるような陰鬱な世界が展開されるが、そこはAIC、ただ暗いだけでなく独特の様式美、構築美で聴くものを魅了していくのだ。

空虚感漂う『ナットシェル(Nutshell)』、大陸的なスケール感のAメロ、サビと四次元空間に迷い込んだようにウネウネとしたBメロが交差する『アイ・ステイ・アウェイ(I Stay Away)』等など・・・ミニ・アルバムとはいえ曲作りからレコーディングまでを1週間ほどでこなしてしまったらしいが、それを感じさせないクオリティの高さは、当時の楽曲製作が充実していたことうかがえる。

しかし、以前から抱えていたレイン・ステイリーのドラッグ問題はこの前後からさらに深刻になり、活動にも暗雲が立ち込めてくるのだった・・・

少しAICの話からそれるかもしれないが・・・

いまや音楽配信が当然となり、今後アルバムといった概念がどう変化していくかも分からないが、ロック・バンドは状況が許すならこのようなアコースティック小作品をたまには作ってもいいんじゃないかとも思う。

一時期、ロック・バンドがライブの構成でアコースティック・コーナーを設けて演奏するのをよく見かけたが、往年の名曲をアコースティック仕様にアレンジして演奏しても、観ている方としては意外とつまらなかったりする。

ただ、ライヴのアクセントとしてはアコースティックも有効なので、このような優れた作品があれば、無理にエレキをアコギに置き換えたアレンジをしなくてもそのままの曲で変化に富んだ面白いライヴが出来るのではないだろうか。

alice in chains - jar of flies - i stay away

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